第6話 決意

竜帝の厚意で彼の住処に住まわせてもらうことになった。彼は普段あの大男の姿で過ごしているらしく、今までと大して変わらない生活ができるようになった。


竜帝と会ってから2日。ラースの作った朝食を食べ終わった時(食事の気分ではなかったがラースに怒られたので食べることにした)、彼は突如、俺に問うた。


「レイン、お前は強くなりたいか。」


それは、何よりも集約された俺の望み。強くなって必ず仇をうたねばならない。


「なりたい。強くなってあの勇者をぶっ倒してやる。」

「…そうか。我としてはお前には普通に生きてほしいものだが…。

1度その道へ入れば、二度と平穏な日常など戻って来ないかもしれん。強くなるための日々に嫌気がさしても、もう進むしかなくなる。それでもお前は、強くなりたいか。」

「強くなる、必ず。」

「そうか…もう何を言っても無駄そうだな。」


そう言うと竜帝は立ち上がって、ついてこい、と言った。


そこは穢れた山、と呼ぶらしい。

竜帝の漏れでる魔素から、周囲はとんでもなく強力な魔物だらけが住まう山で魔王も手出しを嫌うらしい。しかし竜帝が強力な魔物であることは知っているが、そう簡単に魔力が漏れ出たりはしないと思うのだが…。


「ここでお前はこれから特訓だ。毎日毎日、飽きても逃げることは許さん。というか周りの魔物共は強い故お前では逃げれん。」


そう前置きをして説明を始めた。

山の麓あたりは魔素の行き渡りが低めなので麓から地道に頂上まで攻略せよ、という簡単な説明だったが、難易度はおバカさんである。頂上に近づけば純竜種もいるらしい。どうやって攻略しろと?そんな顔をしているとニヤケながら竜帝は言ってきた。


「こんなのも攻略出来ないようじゃ、勇者の足元にも及ばんぞ」


そうなのか…やるしかないのか…。


「期限はそうだな……。よし、10年にしよう。お前が成人する15歳が期限だ。それまでに頂上にいるこの山の主を倒せなかったら、お前は恐らく中途半端なまま勇者と対峙し、殺される。その歳までが見込みのある限界だ。それ以上はどれだけやっても勇者には勝てん。」


10年で純竜種を超えるこの山の主を倒せだと?このジジイまじか?


「今ならまだ引き返せるぞ?どうするよ。」


よし、やってやろうじゃねーか。この山制圧して、それで勇者もぶっ倒す!

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