第228話 本当なのか? 嘘なのか?(7)

 そう、彼が、いつも凝視しては、目尻を下げ鼻の下……。



 そして、腹部の下を大変に大きく……。の方はならないらしい。


 何せ、たぬきの御老体は? 齢九十二歳の物の怪だから。『立たない』『役に立たない』らしい?



 これは、山田瞬もたぬきの御老体から直接聞いたのと。


「お姉さん~。べっぴんさんやから、ええの~。儂にも一回やらせてくれお願いだ~」と。


 本気か、嘘なのか、山田瞬自身にもわからぬが。たぬきの御老体こと、坪田御老体が、常連のお客さまの、お姉さま方へと訊ね──。両手を合わせながら嘆願をしている姿を何度も凝視している、だけではない。


【セクハラ行為】と、言う奴を何度もして、お姉さま方へと叱られ──。


「すまん! すまん! 悪い!」と。


 たぬきの御老体が、両手を合わせ、謝罪をしている様子を何度も目撃──。


 その都度山田瞬は、怪訝しい表情をしながら。


「竹輪のおじさん、いい加減にせんに、ゃ、捕まるよ。わしゃ、しらんけぇいねぇ~」と。


 セクハラ爺でもある、たぬきの御老体のことを苦笑いしながら諫めたことが多々ある。


 また、そんなたぬきの御老体だからこそ? おさん狐さまが、この五味の市へと山田瞬に連れられ、販売の仕事をしている最中に。


「山田の母ちゃん、ええ乳を、しちょる、から。儂に一度でいいから触らせてはくれんか~?」とね。


「なぁ~? なぁ~?」も二回も漏らして、自身の目尻、鼻下も伸ばしながら。セクハラ言葉を平気で告げてきては嘆願もしたことある強者なのだ。。


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