第129話 マスク(31)

 この場にいる者達へと、常連のお客さま達が、次から次へと声をかけてくると言った。いつもの日常と変わらぬ様子が、山田瞬の目に映る──。


 だから山田瞬は尚更~? 大島のオジサンやおさん狐さまの申す話しや諫めの台詞を聞いても~?


 彼は~? 自身の心の中に、不快感を募らせることはあっても。二人に対して感謝の念を持つようなことはない。


 只彼の妻であるおさん狐さまが、マスクを着用しないと不機嫌になるから。

『うんうん』と、頷いているのだよ。


 まあ、そんな様子の山田瞬をよそに、坪田御老体は、大島のオジサンへと訪ねるのだよ。こんな感じでね~?


「大島~? 儂は~? 大晦日や~、新年は~。儂自身もこの歳なので~。家でゴロゴロしながらテレビ観賞ばかりしていたが~。A国で新型のインフルエンザやC国のBKで、謎のウイルスが流行り~。死者が多々出ているといった報道のニュースは目にしなかったと思うのだが~? 大島や山田のかみさんが言っていることは本当なのか~?」

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