第128話 マスク(30)
だから三人は、全くと言ってよい程危機管理がない状態……。
う~ん、でも? 山田瞬と坪田御老体が使用をしている販売ブースの前や横を歩く人達の波も。殻付き牡蠣の入った袋を片手や両手で持つ人達は多々いるのだが。紙マスクや布マスク、ウレタンマスクを着衣している者達と言えば? 2020年の一月最初の週の時点では、『零』と言っても良いぐらい。色々なマスクの着用や、ウイルス予防除菌器具を、自身の首からぶら下げている人達など皆無に等しい状態なのだ。
まあ、当たり前なことなのだが。
だから逆に? 山田瞬の販売ブースに集っているこの四人……。
そう~? 白い紙マスクを着用した四人の方が傍から目立ってしまう程なのだよ。
う~ん、でも~? 山田瞬やおさん狐さま、坪田御老体に娘さん……。大島のオジサン達五人は、加工食品を販売している者達だから。彼等、彼女達の販売ブースの前や横を歩く人達の波は、五人の様子を『チラリ』と見て確認はするのだが。直ぐに素知らぬ振りをしながら歩き過ぎていく~。
う~ん、それか~?
「おじさん~? 竹輪を頂戴~!」
「牡蠣の佃煮はないかぁ~? おじさん~?」
「お兄さん~。芋けんぴ、頂戴~」
「豆だ~。豆をくれんかぁ~? 兄ちゃん~?」
「お姉さん~。ママカリの味醂干しをちょうだい~」と。
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