第80話 新年早々縁起の良い? 狐と狸の化かしあい?(2)

 今年九十二歳になる坪田御老体の、お客さまへの呼び込みの掛け声と手招き──。


 そして試食に販売、お金の計算と、彼の脳の思考回路と体力は、止まらず続くから圧巻──。


 我らは坪田御老体を遠目……。


 おさん狐さまは通路を挟んで傍から、坪田御老体の様子を見ているのだが。

 お互いの口から漏れる言葉はただ一つ……。


「御老体は凄いの~」


 と、彼の持つ能力の凄さに圧倒された嘆息が漏れるのみなのだよ。


 でッ、それをまた横で聞く山田瞬は、おさん狐さまの漏らした嘆息を聞き。


「ん? あああ~。そうだね~。おじさんは凄いね……」と。


 彼は余り感情……。我等やおさん狐さまのように驚愕したような感情がこもっているわけでもなく。余り気にもしていない声色……。


 というか?


 日頃から物の怪のような御老体と、店を並べて販売しているから。


 今更御老体の大変に清々しい、透き通るような、お客さま達への掛け声と販売テクニック……。


 その他にも、お金の計算の速さ等、その他諸々見ても。見慣れている山田瞬だから、我等やおさん狐さまのような驚愕した感動は無いのかも知れない?

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