第10話 西暦2019年の終わり……。 (8)

 でッ、大島のオジサンへとお礼を告げ終えると、今度は山田瞬──。『ゴソゴソ』と、音を立てながら。自身の顔の中にある口を塞ぐように紙マスクを覆い始めるのだよ。


 まあ、山田瞬は、紙マスクで自身の顔を覆るだけではなく。


「オジサン~? アメリカや中国では、そんなに大変なことになっているのですか~?」と。


 大島のオジサンに問いかけながら、紙のマスクを自身の口へと覆い被せたのだよ。


 そんな山田瞬の作業の様子を凝視しながら大島のオジサンは。


「あああ~。本当に大変な事になりつつあるみたいだね~」と。


 山田瞬へと言葉を返してきたのだ。


 だから彼は、「へぇ~。そうなんですか~?」と、ごく当たり前な台詞……。


 まあ、山田瞬の産まれ育った国……。自分自身が生活を営む日本で起きた出来事ではない。他国の出来事……大惨事だから、山田瞬の台詞も自然と他人行儀な言葉しか、大島のオジサンへと返さない。


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