第8話 西暦2019年の終わり……。 (1)
西暦2019年……。
そろそろ年の瀬──! 大晦日も数日に控えた最中……。
山田瞬は、未だ世の中は、クリスマスの余韻が残る最中なので。妙に朝から自身の目の前を若い男女のカップル達が肩を並べ仲良く、手を繋ぎ歩く様子を横目で見ながら「はぁ~」と、溜息──。彼は嘆息を漏らす。
それも自身の日常の糧を得るための商いの仕事……。
菓子や珍味、乾物などの販売のお仕事をしながら嘆息を漏らす。
だって彼は、産まれてこの方、二十歳も過ぎているにも関わらず。未だに異性との交際……。彼女一人もできたことなどないのだよ。
と、なれば?
彼は未だにプロアマ問わず、経験のない漢……。童貞君と言う奴だから、自身が販売をおこなっている場所の前を、若い男女が牡蠣──。
そう、冬の味覚──海のミルクと呼ばれる健康にも良い殻付き牡蠣を、市場の店内で二人仲良く購入──。市場から仲良く和気藹々とした会話をしながら出る様を彼は……。
というか?
この物語の主人公である山田瞬は嘆息漏らしながら、カップル達を横目でチラリ──。
『いいな~。羨ましいな~』と、毎年恒例のようにクリスマス後は思うのだよ。
だって先程も我らが説明をしたとは思うのだが?
彼は毎年クリスマスの夜はAV観賞……ッて?
『あっ! いけない……』
彼のAV観賞は内緒だったことを忘れていた。本当に彼には申し訳ない。
と、いうことなので彼は、クリスマス仕様の映画やドラマ観賞ばかりではなく。YouTubeの動画や『俺の嫁!』がいるスマホアプリのゲームをプレイしながらクリスマスの夜を独り寂しく過ごした。
でッ、過ごし。クリスマスも終われば、また独り寂しく、彼の生活の糧でもあるお菓子や珍味の販売業の方を毎年、大晦日までを同じ市内の岡山県備前市日生町の五味の市で販売をさせてもらう生活を。ここ数年は続けているのだ。
まあ、そんな状態の山田瞬なのだが。今年も何も変わらない日常を過ごしながら販売業を大晦日まで……。
と、いいたいところなのだが?
う~ん、今年の彼は、そうはいかないみたい?
だって山田瞬は、『くそ~!』と、世のカップル達を呪いながら販売をしていると。
彼のように五味の市へと販売にきている業者の方に、「山田君~。ほら~」と、声をかけながら、ある物を手渡されたのだ。
だから彼は、「ありがとう~。オジサン~」と、声をだしながら。ある物を受け取り凝視する。
そして驚愕──!
彼の口からは、「オジサン~! 何で僕にマスクを~?」と、告げる。
まあ、彼も一度だけ不満を大島のオジサンに漏らすだけならばいいのだが?
今の彼は至って健康──!
風邪ややインフルエンザ等の症状も全く無く、すこぶる健康──!
そして元気なのだ──!
だから彼の口からは自然と大島のオジサンへと不満が漏れる。
「オジサン~。僕は今日も至って元気~! 体調不良もなく。自身の体の方も良好だよ~。だから~。オジサン~。マスクなど、僕はいらないよ~」
まあ、とにかく、山田瞬は大島のオジサンから手渡しされた紙マスクを凝視しながら苦笑い……。
そして不満を漏らすのだよ。
う~ん、でもね? 山田瞬と同じ販売業を営む大島のオジサンこと大島新作は、彼の不満のある言葉を聞いても。
大島新作自身が手に握る紙マスク──。彼へと手渡しすることをやめようともしない。
う~ん、それどころか、大島のオジサンは山田瞬へと。
「山田君~? 若い君は、インターネットで、YouTube等の動画の配信サービスを見たり聞いたりしないのかい……?」
と、とても不思議そうな顔をしながら訊ねてくる。
だから山田瞬は、大島のオジサンの問いかけを聞き。
「えっ? 僕ですか?」と。
彼自身も大島のオジサンの問いかけを聞き。彼と同じような様子──。少々驚いた顔をしながら言葉を返す。
でッ、彼は心の中でこんなことを思うのだよ。
(う~ん、何で? 大島のオジサンは、僕にYouTubeなどの動画配信サービスを見ているのか? 尋ねてくるのだろう……)とね。
まあ、彼が自身の脳内で、こんなことを思案していると。
大島のオジサンはまた自身の口を開き。
「うん、そうだよ? 山田君……」
と、言葉を返してくる。
だから山田瞬も、大島のオジサンに対して、ごく当たり前台詞を返す。
「まあ、YouTubeの動画ならば、僕自身も大変に良く聴視しますが……。オジサン、それが、どうかしたのですか……?」とね。
まあ、彼自身も平成生まれの青年なので、暇を持て余せば、スマートフォンのアプリゲームをプレイするか? YouTubeなどの動画の配信サービスを聴視するのか? どちらかではあるから。
彼は何も考えずに、大島のオジサンへと直ぐに言葉を返した。
すると大島のオジサンは、自身の顔色変えながら、山田瞬へと。
「山田君~? 君は色々な動画の配信サービスを見ているにも関わらず。今アメリカで新しいインフルエンザや中国で謎のウイルス……伝染病が流行っていて、多数の重症患者や死者が出ている事を知らないのかい?」
と、訪ねてきたのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます