第12話 ホラゲーの楽しみ方は人それぞれ。

復帰配信から数日経ちました。

 

 だいぶ配信も落ち着いて、初見さんも増えていってます。どうやらいくつか出ていた私のV切り抜き動画の一つに、問題のシーンだけの切り抜きではなく配信開始からそのシーンまでの動画を切り抜いた人がいたそうな。「それどころじゃねぇ!!」だけしか知らなかった人達がそれを見た結果、何人かが「普通に良い声じゃん」と興味を持ってくれたそうで。なるほど、これがおっさんの言っていたメリットか。確かに今の私ならデメリットが少ないな。こういう所は素直に切り抜き勢に感謝しよう。ありがとう。今度お礼に音読読んであげる。


 

 ところでここで気になったコメントを見ていきましょう。




 :ボイス販売しませんか?買いますよ

 :配信時間が合わないときがあるので、睡眠ボイス販売してほしいです。

 :いつでも聞けるようにボイス販売してほしいっす!!

 :ボイス販売まだー?



 ありがたいことに、私のボイス販売を待ってくれている方がいます。いやぁ、ありがたいよね。

 では次にこちらのコメントを見ていきましょう。




 :ボイス出すなら罵倒系で。

 :ドM向けのボイスはありますか?

 :俺様口調のボイスほしいです

 :R18ボイスください。

 :雹くんのボイスでおじさんを虐めてほしい……ハァ……ハァ……

 :やべーやついて草。あ、俺は俺様罵倒系でお願いします。【サキ】



 うん、こうなるとちょっと出しづらいよね。いやコメント自体は気にしないけどね?なんか面白いし、今の所コメント同士で喧嘩も起きてないし。とはいえ求められるとちょっと困りますね。何人か明らかに別の事で使いそうなのいるし。あとサキさん、貴方前回より要望増えてますよ。どっちも駄目と言ったからって足すんじゃねぇよ。あと貴方がやべーやつ言うな。


 

 コホン、まぁそんな感じでちょっと困ってます。内容には困ってるけど、ボイス自体はそろそろ出してもいいのかしらね?サキさんに聞くのがいいんだろうけどあの人企業勢?だしなぁ。おっさんに聞いてみるかな。うーん、私もそろそろ他のVtuberと絡んでいろいろ聞いたりしないといけないかもしれない。面倒だけど。とりあえずおっさんにポイして寝まーす。






 ゲーム配信開始(単発)


 

 「皆さんこんばんはー。今日も元気に配信を始めていきます。男どもー、起きとるかー」


 

 :来たぜ、ぬるりと。

 :おっすおっす。

 :最近雹夜さんがすごいフレンドリーになって嬉しい。もっと来いよ!

 :俺達に心を許してますねこれは。そろそろ堕とせそうでっせへっへっへ。こんばんは。

 :俺の雹くんは渡さんぞ。こんばんは。

 :なぜ男だとバレたのか。コレガワカラナイ

 :というか、流石にそろそろ女性の1人や2人いるだろ。



 「はいはいこんばんはー。僕も配信にだいぶ慣れましたからねぇ。それに皆さんともっと仲良くなりたいし」


 

 :俺に子宮があったらキュンキュンしてた。

 :息子があるじゃないか。キュンキュンさせとけ。

 :好き(告白)

 :俺達が堕とされてどうするよ俺達が。俺も好きです()

 :っぱ雹くんが一番よ。

 :ここまで全員男である。


 「あー、そういえばYouTuberのマイチャンネルで男女の統計数見ましたよ。うん、ほぼ男性でした」


 

 :やっぱり駄目じゃないか。

 :ほぼ、ということは女性もいる?

 :多分配信された後のやつ見てるとか?特に音読配信とかは女性人気ありそう。

 :まぁ今の所雑談配信と音読配信のみだからね。ゲーム配信?あっ(察し)

 :すまないが男以外は帰ってくれないか!!

 :やめないか!



 一応女性も見ているらしいですよ。一応。まぁ気にしないけど。


 

 「さてさて、本日は久々にゲーム配信をしますよ。ただ前みたいに長い作品だとキャラや作品に感情移入したりして事故りそうなので、そういう作品は無しで。とりあえず今日は単発ゲームやります」


 そう説明しながらゲーム画面を映す。

 配信画面を見て、しっかり映っているのを確認する。うんうん、大丈夫そうだ。

 ちなみに今回やるゲームはホラーゲームですぞ。ド定番だね。だがそれがいい(面倒だったからとかじゃないぞ)



 :お、ホラゲーだ。

 :出たー!定番ゲー!

 :親の顔より見たメニュー画面。

 :もっと親のメニュー画面見て。

 :親のメニュー画面は草。

 :そのメニュー画面にやり直しの項目はありますか?人生やり直したいです。

 :おいやめろ。こっちも辛くなる。


 

 くそ、面白いこと言われた。なかなかいいセンス持ってるなぁ。

 ……よし、設定完了。それじゃやっていきますか。



 


 「んー……あ、あそこ絶対出るよね」


 

 :ほぉ、お主感が鋭いな。

 :初見プレイだっけ?さっきから霊が出る所全部当ててるよね

 :まぁまぁ。このゲーム遊び尽くされてるから知っててもいいじゃない。

 :ここまで雹くんの叫びなし【サキ】

 :そこまで怖いゲームじゃないけど、ホラー耐性高めかな?

 :雹さんの怖がるところみたいー。


 「初見プレイですよー。動画も見てません。現にどこにアイテムあるかわからないし」


 嘘は言っていない。本当に初見プレイだし、自分がやるゲームはクリアするまで絶対動画を見ないと決めている。じゃあ何故幽霊が出るポイントを知っているのか?実は見えるんですよね。そういう類のやべーやつ。日常生活で見すぎてるせいか、ホラゲーやってても「あぁあそこ出るなぁ」とわかってしまうのだ。怖がることが無いのは嬉しいが、ホラゲーのメインとも言える楽しみが全然楽しめない。なので私は違う楽しみ方を思いついたのである。



 「よし、せっかくだから見に行くか」


 

 :は?【サキ】

 :せっかくとは一体。

 :俺ここの幽霊嫌いなんだけど。めっちゃ心臓ビクビクする。

 :顔がこえぇんだよなあの幽霊。

 :なんで行く必要があるんですか()

 :自分から見に行くのか……


 

 コメントの制止を振り切り進んでいく。

 いいねー、こういう反応が見たかったのじゃ。



 「お、出てきた出てきた。なるほど、女の子ですねぇ」


 :冷静に分析してないで早く戻ろう!

 :なんで楽しそうなのか。

 :もうやめよう!こんな事しても誰も幸せにならないよ!【サキ】

 :このゲームここまで怖かった?なんかすごい寒気がする。

 :皆絶対逃げるからね。立ち向かうの雹くんだけよ。

 :なんで見に行く必要があるんですか(二度目)

 :今なら引き返せますよ!戻りましょう!


 

 「いいや行くね!せっかくだから、僕は血まみれの少女を見るぜぇ……!」


 どんどん近づいていく。少女もどんどん近づいてくる。

 まるでジョジョ三部のディオと承太郎が殴り合うあの場面みたい。

 ……せっかくだし言ってみるか。


 「どれ、力比べと行こうか。私の精神力と君の恐怖力、どちらが上か」


 

 :でぃ、ディオぉぉぉぉぉぉぉ!!

 :雹夜は考えるのをやめた。どんな幽霊が来ても、このスタープラチナ(睡眠ボイス)をぶつけるのみだ!

 :少女の見た目あんなんなのか。初めてしっかり見たぞ。

 :え、これ普通にやばくね?怖くね?

 :おいおい嘘だろ、何十回と見たホラゲーなのにめっちゃこえぇぇ!

 :そりゃ誰も幽霊の顔見たいなんて思わないだろ!というかもう逃げて!お願いだから!

 :コメントを切らすな!画面外を見て乗り越えろ!!



 ふはははは。皆怯えているぞ。いいぞぉ、すんごい楽しい。

 いやぁ、いつだっていいもんだ。怯える顔というのは。

 ついでにサービスしちゃおう。


 「はい、こちらが少女のお顔となっています。可愛いですねぇ」


 :あわわあわわ

 :普通にこえぇよ!可愛くねぇよ!

 :ごめん、流石に怖すぎて見れない。終わったら教えて。

 :助けてください……アイアンマン……

 :可愛い?あぁうん可愛い可愛い(思考停止)

 :ごめんなさい許してください。



 よし、十分楽しんだし一度死んでコンティニューするか。

 いやぁ、楽しかったなぁ。

 ちなみにその後はサクサクっとクリア。まぁアイテム探すだけだしね。



 「……はい、ということで終了です、皆さんどうでした?」


 :雹夜さんがやべーやつだとわかった。

 :雹さんドS説。

 :やっぱりドSじゃないか(歓喜)

 :素直に怖かった。けど雹夜さんの意外な姿が見れて面白かった。

 :今後もこういう感じだとすると、ある意味ホラー耐性つきそうですね……

 :もうちょい優しいゲームでお願いします……。


 

 「うん、楽しんでもらえたようでよかったです。ちなみに次回はこれです」


 :めちゃくちゃ怖いゲームで有名なやつじゃねぇか()

 :おいやめろ。いややめてくださいお願いします。

 :次回の配信はやめておこう……

 :でも来るんだろ?

 :うん。

 :素直で草。

 :次回やべーな……



 「それでは次回もお楽しみに。今日はこれで終わります。お疲れさまでした」


 

 配信を落として一息つく。

 いやぁ、満足満足。次回も楽しみだなぁ。あー、楽しかった!

 さてそろそろ寝るか……と思ったところにサキさんからのチャット。

 どうせ「今日のドSな雹くん凄く良かったわ」とか言うんでしょ?知ってる知ってる。


 


 【あの、雹くん】

 

 【ごめんなさい、怖くて寝れないのでお話しませんか】


   

 

 ごめん、ほんっとごめん。



 

 


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