閑話 ダズとティトレの会話
(ダズ視点です。)
久しぶりにゆっくり眠れた。
天気も良い。
溜まった衣類を洗濯し、ベランダに干した。
日の当たる場所で食事でもするかな。
拠点の食堂に顔を出した。
一般客も利用できる食堂だが、食事時を少し過ぎている。
食堂の利用者は少ない。
厨房でカレーを受け取り、テラス席に移動する。
今日はカレーの気分だ。
ナンにカレーを付けて食べる。
美味いな。
ティトレが食堂に来た。
この時間に会うとは。
今は昼過ぎだ。
珍しい事もあるものだ。
今は仕事を忘れてゆっくりしたいんだが……。
ティトレは無言で俺の目の前に座った。
……。
…………。
無言が続く。
クリアが一階層を攻略したのは案内人に広まっている。
解っている。
言葉が無いんだろ?
つまりは絶句。
絶句だ。
俺も同じ気持ち。
絶句だ。
ついにティトレが話し出した。
「ヤバいね」
「ああ、ヤバい」
即答だ。
同意するしかない。
「一階層攻略にかかった期間は?」
「一か月半」
「一階層が一番時間かかるって彼は知っているのかい?」
「知る訳無いだろ」
「だよね」
「素性は?」
「しっかりしている」
「山で拾ったんじゃ無かった?」
「拾ったのは偶然だ」
「含みのある言い方だな」
「あいつはサバスを目指していた」
「偶然じゃない」
「で?」
「正体は?」
「あいつの育ての親の名前は、バルド・ゼードだ」
「そう名乗っていたらしい」
「バルド・ゼード、ね」
「聞き間違いじゃない?」
「そう思うか?」
「はーあ」
「案内人の創始者の一人でしょ?」
「何年前の人物だよ」
「あいつは爺と呼んでいた」
「案内人が出来てから百年は経っている」
「爺で合っている」
「つまり、本人だと?」
「違うと思うか?」
「思わないけどさ」
「だろ?」
「あの気配消しと索敵を見せられたらなー」
「俺の様に寝ていても気配が消せるようになりたいらしい」
「最初からそれかよ」
「品がある」
「粗暴さが全くない」
「読み書きが出来るらしい」
「金の存在も知っていた」
「教養がある」
「つまり、英才教育されているのか」
「そうか」
「無いのは狩りの経験だけだ」
「性格はどうなの?」
「落ち着きがある」
「いつも自然に振る舞う」
「俺に寄りかかって来ない」
「足りない事の方が少なそうだ」
「自分の才能に自覚が無い」
「それが欠点か」
「なるほどね」
「嫌味な奴」
「お前は余計な事するなよ?」
「するさ」
「会話してみたい」
「段取り決めとかない?」
「はー、しょうがない」
「なら…………」
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