第2話 空を穿つ
レイセ:レイセ・クリア・クロト・ノキシュ。
黒戸零維世。
連合国クロトと聖国クリアの王。
ニーナ:ニーナ・アイマー。
黒戸美月と融合した。
五章主人公。
アリア:アリア・アランテ。
篠宮美弥子と融合した。
ニーナとは幼馴染。
リビア:聖国クリアの元代表。
レイセと結婚。
プロミ:プロミネンスの略で通り名。
本名はルビー・アグノス。
黒崎鏡華。
月と太陽の国アウグストラの女王。
国では現人神と扱われている。
リアンナ:リアンナ・ドバスカリ。
海洋国家ドバスカリ女王。
黒沢香織。
ファガスと結婚。
コナル:青井友介。
連合国クロトの戦闘顧問。
黒戸美月が気になる。
ファガス:黄山十夜。
海洋国家ドバスカリの重要処。
リアンナと結婚。
ベル:黒沼直樹。
聖国クリアの守護者長の纏め役。
ランと結婚した。
物理と数学の教師。
ボーデン:ボーデン・バレット。
フレドの補佐。
元冒険者。
戦闘は魔法タイプ。
三か月後、死兵国プロンシキの『ウォーターフォックス』、キシ・ナトハ・ソアミ・カジャーが国を離れた。
キシが抜けた事でプロンシキは事実上無くなった。
国防力のほぼ全てをキシに頼っていた為、国を保てなくなった。
プロンシキの街は月と太陽の国アウグストラに併合される事に成った。
プロミは予定を変更し、自国に戻っている。
三か月の間に、海洋国家ドバスカリ、武闘国家メロイリス、魔道国家ネストロス、及び商業都市ノキシュの首都のダンジョン完全攻略を果たした。
三角形のペンダントは、既に攻略した連合国クロト、聖国クリア、月と太陽の国アウグストラでのみ見つかった。
それ以降、最終層ではオリハルコンの小さなコインと魔石が見つかった。
万華鏡に似た魔道具は、連合国クロトでのみ見つかった。
他のダンジョンでは替わりの魔道具は見つかっていない。
最初に攻略したダンジョンだけの特別な魔道具だったらしい。
俺達は月と太陽の国の南にある洞窟に来ていた。
ツァーリクが見つけたあの洞窟だ。
メンバーは、俺、リビア、ファガス、コナル、ニーナ、アリア、ボーデン。
精鋭を揃えた。
ペンダントを嵌め込むと管理者の選定が本格化するだろう。
選定には魔物の王がかかわっている。
管理者の少女が示唆していたから確実だ。
選定を本格化する前にやっておく事があった。
魔物の王は俺達人間を間引いて管理している。
判断基準はわからないが俺達を把握している。
ではどうやって把握しているのか?
見張っている奴らがいる。
空だ。
大気を抜けた先。
人工衛星の様な働きをしている魔物が複数いる。
選定が本格化したら魔物共は本気を出して来るだろう。
先手を打つ必要がある。
「攻撃態勢に入ると反応して来ると思うか?」
「まだ貴方の言う引き金を引いていません」
「こちらが攻撃するまで様子を見るのでは?」
「俺もそう思う」
「向こうがやる気なら遺跡を見つけた時点で生かして返さないだろ」
「だな」
「ツァーリクは危なかった」
「ベルが人工衛星を打ち上げるって言い出して気付いたんだ」
「わかってたら行かせなかった」
「索敵の範囲外にいる」
「考えが足らなかった」
「気付くのなんて無理に決まってる」
「地球でも最低二千キロ上空だぞ」
「瞬間移動で直接叩けないのか?」
「あれは行った事のある場所じゃないと無理だ」
「到着地点をイメージ出来ない」
「いるって、どうやって確かめたんだ?」
「魔道具で電波を発信して反射で調べた」
「クッソ速いぞ」
「じゃあどうすんだ?」
「ベルとは角度と速度を打ち合わせ済みだ」
「今耳に付けてる魔道具に連絡が入る」
「槍を投げて撃ち落とすが、反撃がある」
「それは絶対だ」
「リビア、ファガス、コナルはそれを結界で防御してくれ」
「ニーナ、アリア、ボーデンは結界効果を高める補助魔法に徹してくれ」
「七体いる」
「一体ずつしか倒せないから、防御が重要だ」
「みんな準備は良いか?」
「待ってください」
「楽器に成った方が良さそうです」
「アリア、何の楽器です?」
「ピアノで」
「了解です」
「ニーナ、曲は?」
「―――」
ボーデンはピアノに成った。
ボーデンは器用だ。
複雑な楽器にも成れるようになってきた。
それにしても、その選曲。
ニーナは俺に不満があるらしい。
嫌なら直接言えよな。
「ベル、聞こえてるか?」
「計算を始めてくれ」
『了解』
「計算に五分程度掛かる」
「みんな!」
「始めてくれ!」
「「「「「応!!!」」」」」
リビアが全員を覆うように半球型の結界を幾重にも展開。
ファガスとコナルがその結界を更に覆う細かい結界を複数展開。
演奏は始まっていない。
結界は槍が抜ける穴だけあけてある。
投げた瞬間閉じる。
『五秒後、四、三、……』
俺は完全融合し、自分の体重を重くする。
速度は出せる。
到達もさせる。
威力が肝心だ。
出来るだけ重く。
重さで砂の地面がズンと凹む。
まだだ、まだ足りない。
ズン、ズン、と三回凹んだ。
槍を具現化する。
重く、重く。
ズン、ズンと地面が凹んでいく。
『二、一、……』
一歩踏み込んだ。
重さが左足に圧し掛かる。
踏み込んだ足の地面がズンと沈む。
『今です!!!』
「ゔるあああぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!!!!」
全身をしならせ全力で槍を投げる。
黒く輝く槍が青空を切り裂いて一直線に昇っていく。
反動で踏み込んだ地面が大きく沈み込む。
同時に天から真下に光の柱が降って来た。
演奏が始まる。
「ズガァァァーーー!!!!!」
『ベル!?』
『どうだ!?』
『成功です』
『ですが、今ので集まって来てます』
『その攻撃は二体目が発生させてます』
『おそらく六体で波状攻撃に出てきます』
『再計算を頼む』
「どうだ!?」
「結界は持ちそうか!?」
「威力が大きすぎる!!」
「長くは持たないぞ!!」
「速くしてくれ!!」
「集まって来られたら持たないぞ!」
徐々に結界に罅が入って来ていた。
「攻撃が止んだ瞬間と、敵の位置が揃わないと無理だ!!」
「何としても耐えてくれ!!」
みんなが輝き出した。
全員が完全融合状態だ。
『ベル、まだか!?』
『あと三分』
『一分に短縮しろ!!』
『残り六体同時にだ!!!』
『一気に片付ける!!!』
『やるしかなさそうですね!』
集中する。
俺は精神体だ。
分身出来る筈。
呼吸も必要ない。
瞬きも必要ない。
全力を出す。
俺は六人に分裂した。
一瞬でさっきの数倍地面が沈みこむ。
さらにさらに重くする。
『敵は統制の取れた動きをしています』
『一直線に集まって来ている』
『位置情報を、音にイメージを乗せて送ります』
『感覚で掴んでください』
ビシ。
ビシビシ。
バキッツ!
結界に罅が広がる。
バキバキッツ!
まだか!?
もう一分経つぞ。
『後、五秒』
敵の攻撃が止まない。
結界の事はもう無視する。
持たない。
ズン。
砂が沈み込む。
『四』
ズン。
『三』
ズン。
『二』
ズン。
ズン。
ズン。
『一』
ドゴン。
『撃ってください!!!』
「「「「「「ゔるぅあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」」」」」」
結界を内側から突き破る。
六本の槍が消えた。
踏み込みで砂が吹き飛んだ。
投げた瞬間解った。
殺した。
手ごたえがあった。
『成功です!』
六つに分裂した俺は一つに纏まる。
足に力が入らない。
目の前が真っ白だ。
俺は気を失った。
* *
頭が痛い。
割れそうだ。
痛みで目が覚めた。
「済まない」
「待たせたな」
「気にしなくて大丈夫」
「私達も休憩出来たし」
「これで監視されなくなる」
「ですね」
「追撃は有ったか?」
「無いな」
「不自然な位に」
「…………」
「想定内なんだろうぜ」
『ベル、聞こえるか?』
『目が覚めたんですね』
『ああ、大丈夫』
『人工衛星を打ち上げといてくれ』
『了解』
「キシに気付かれたと思うか?」
「気にしても仕方ありません」
「それだけ頭が回るなら大丈夫そうだな」
「ああ、大丈夫」
「行くか?」
リビアが心配して額に手を当てる。
熱は無い。
「呼吸が浅かったので心配でしたが、呼吸は今も浅いままですね」
「本当に大丈夫なんです?」
「呼吸してたか?」
「呼吸をやめてたつもりなんだが……」
「……っ!」
みな驚いてる様だ。
「呼吸と瞬きは隙に繋がる」
「やめれるならやめたほうが良い」
「ぶっつけでは無理のようだな」
「無意識にしてる動作をやめるのは簡単じゃ無い筈です」
「だぜ」
「それより、さっさとペンダントを嵌め込むぞ」
「そうだな、済ませよう」
俺達は洞窟の奥に向かって進んだ。
ゆっくり下りながら進んで行く。
洞窟内部はまだ乾いてない。
ひんやりとした空気が漂っていた。
広がった空間に出た。
ボーデンが魔法で出した明かりの光を強めた。
湿った台座があった。
「何が起こるかわからない」
「一応警戒してくれ」
「選定が始まるなら殺しはしない、わよね?」
「たぶんね」
俺はマジックバッグからペンダントを出した。
チェーンは外してある。
順番に窪みに嵌め込む。
三つ嵌め込んだ。
三つのペンダントが真上に輝き出す。
三つの光が交差し、何かを描き出そうとしている。
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