娘の夢
先日、こころさんのエッセイで「キャラには目標を持たせること」についての意見が交わされていて、その中に「夢」というキーワードが出てきたんですよね。
私はどちらかというと、キャラには大なり小なりの「夢」もしくは「叶えたいこと」と持たせるタイプです。未熟で、未来が見えていないキャラであっても最終的には「○○させる」という構想はくっつくるタイプ。
そこでも書いたんですけど、どっちかと言えば、ハリウッド映画的な、「ああ、終わったんだ」的な物語の終わりが好きで、あの日常を淡々と描いて、「あれ? これで終わり?」みたいなものは、モヤモヤとしちゃうタイプなんですよね。なので、どうしても自然とキャラにはそういうものをくっつけてしまうんです。
例えば、「流刑地音楽ホール」では、主人公の蒼は「市役所職員として一人前になりたい。水野谷課長みたいになりたい」という目標があります。関口はもう見ての通り、「ヴァイオリンで勝負して、父親を乗り越えたい」です。
「田舎犬都会猫」では主人公の田口は「保住さんの隣を歩けるくらいになりたい」。一方の保住は「梅沢市をいいものしたい。市役所の悪しき体制は変革したい」という密かな思いがあるわけです。
我が家の長女ですが、なにせ優柔不断。幼稚園の卒園アルバムに将来の夢を書く欄があったんですけど、まったく書けなくて、いつの間にか私の父(彼女からしたら祖父)に吹き込まれた「こくれんのひと」と書いたツワモノです。——で、彼女に「
私の父はとある疾患の手術の後遺症で下半身不随なんですけど、健在だったころは、アフリカ支援関連の活動をしていたんです。それで変な入れ知恵をされた模様でした。
その彼女が最近になって「市役所の人になろうかな」と言っていたんですよ。私はね、てっきり地元愛が強いんだって思っていました。ところが、先日。驚きの発言が……。
「あんた○○市(住所地のある市)の市役所に務めたいんでしょう?」と尋ねると。その答え。
「え? ヤダ~。だって食堂ないじゃん。私は梅沢市役所(仮)に務めるの。食堂あるから」
——食堂あるからだと!?
確かに住所地のある市は人口もそう多くない。お隣の梅沢市役所(仮)よりも職員数が三分の一程度です。市と言っても市町村合併で面積だけ大きくなって「市」になった名ばかり「市」。本庁舎には食堂はありません。
それに引き換え、梅沢市(仮)は中核市。食堂もあるし、売店もあります。
「ねえ、そこ? そこなの? あんた○○市が好きなんじゃないの?」
「え~。別に。好きだけどさ。それとこれとは別でしょう? あ、それに私ゆずりん(仮)好きだから。ゆずりん(仮)をみんなに知ってもらえる部署に行きたいな♡」
いや参りました。食堂の有無で将来の夢が決まるなんて……。食堂だけなら民間企業でもいいじゃねえかって突っ込みたくなりますが。
「だって家から通えるし」
長女はもしかしたらずっと一緒にいるのではないかという危惧が芽生えました。大学も「家から通える大学どこ?」とよく聞かれます。困ったことです。一人は寂しいけれど、私は一人でも生きていける人種なもんで。出来るなら一つ屋根の下ではなくして欲しいんです。
まあきっと。二女は自由人。きっとすぐに家を離れることでしょう。残るは長女をどう言いくるめて家から出すかという課題です。
子どもの夢って不思議です。かくいう私もそう本気で夢なんて考えなかったほうですけど。ねえ……。食堂……ねえ?
ということで、カクコン残すところ一日半! 星が少し増えました。本当ありがてえ。今は縁起のいい? ぞろ目ですよ。この前は「99」でしたが、今日は「111」。ぞろ目に縁があるようです~。
我が娘が働きたい梅沢市役所音楽ホールを舞台にした本編もよろしくお願いします。おまけ3。本日終了予定です。
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