第6話

 最初に袴田の実験室に連れてこられてから、2ヶ月が経った。大人しく実験に協力していると、俺は他の人よりも、圧倒的に闇が深いことがわかったらしいが、この2ヶ月でさらにその力が膨れ上がっているという。またそれと同時に一筋の光も共存していることが判明した。袴田曰く、「この闇の深さなら普通、この世界に来れば暴走するはずだが、この光があるから、正気を保っていられるのだろう。」とのことだ。しかし、何が俺の光なのだろう。考えてみたところ、陸の顔しか思い浮かばない。ああうざい、腹立たしい。しかし、初めてここにきた後、俺のことを心配してくれたのはあいつだけなのだ。信用していいのかわからないが、それしか思い浮かばないのならそうだろう。そのことをまだ袴田に話す気はない。話したら、おそらくあいつも実験台にされるだろう。それは避けたい。

 この日も何事もなく、元の世界に帰された。









袴田「もうすぐだ、もうすぐで、


世界が終わる」

                  続く

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人生 〜とある男の物語〜 ぼーがす @Bogus

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