人生 〜とある男の物語〜

ぼーがす

序章

 俺が死んで泣く人なんて、絶対いないと思ってた。昔から煙たがられてた俺は、誰にも愛されることもなく、負の感情だけを持ったまま、この世からいなくなると思ってた。でも遅い。俺は


  死んでしまったんだから。


 俺の名前は中井遼。俺の両親は、俺を産んだ後に死んだ。俺は保育所に引き取られ、里親に引き取られたが、他人の子だからと言い、家を開けることが多く、必要最低限の金銭は貰えたが、一緒に過ごした思い出はほとんどない。小学校に行っても、友達はできなかったどころか、いじめの対象になった。それも、裏でこそこそ仕組んでいる、かなりタチの悪い方法だった。そのおかげでどんどん喋らなくなり、心を閉し、1人でいることが多くなった。

 そんな日々を過ごしているうちに、高校生になった。俺は、静かに、1人で、誰とも関わることなく高校生活を終わらせたかった。だが、俺にやたら話しかけてくる奴がいる。奴の名は尾崎陸、クラスメイトだ。正直、しつこかったので、軽くあしらっていた。だが、この時はまだ、あんなことになるなんて思わずにいた。

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