ゲーム開始
このゲームは、机の上にある1セントコインが表か裏かを当てるという非常にシンプルなものだった。
まず、ゲームマスターがコインをトスし、キャッチしたのを確認。
見えないようにアイマスクを着け、机の上に置かれたコインが表か裏かを当てる。
お互いに条件が一緒であり、確率は二分の一。
シンプルで分かりやすく簡単であり、だからこそ、悩む。
また行動も制限されており、立ち上がったりする事はもちろん動いてはいけない。
また、三人いるゲームマスター達への質問も禁止されていて、唯一出来るのは相手と会話する事くらいだ。
私はどうしようか決めあぐねていた。
悩んでいても仕方ないのは分かっている。
完全に運否天賦に任せたゲームなのだ、考えたところで答えが出るわけもない。
何かの手がかりさえあればそれを元に考えられるが、答えを知っているゲームマスターに質問は出来ない。
だからといって、思い切り選択してしまうほどの勇気は出なかった。
それは失うものを考えれば当然のことだろう。
「ねぇ、
私はそう声が聞こえてきて驚いた。
聞き覚えのあるこの声は対峙している彼女のもの。
驚いたのは、その彼女の強気な発言にあった。
「じゃあ、私、先に決めちゃうよ?」
そのあっけらかんとした言い方に私は違和感を覚える。
命懸けと言ってもいいゲームなのに、どこか余裕を感じられる喋り口調だ。
そんな事があるだろうか。
「ちょ、ちょっと待ってよ
私は動揺しながらも、とりあえず止めた。
彼女──有咲はそのまま答えかねない勢いで、もしそれが正解だったらどうしようと不安に駆られての行動だった。
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