こちらはシリーズ作品の3作目となる物語で、前作を読まずとも楽しめる作品となっています。
ですが、1と2も読まれたらもっと楽しめることは間違いない作品です。
このシリーズを通して、突如魔法が存在する世界へ来てしまった異世界人達は様々な事情を抱え、様々な考えの元に行動をしていきます。
3作目の主人公は異世界からやってきたミシャという元気いっぱいな女の子です。
この女の子がとにかく可愛い。最初はまるで男の子さながらの姿で登場し、周囲を慌ただしく巻き込みながら話が進んでいきます。
ミシャという一人の人間が大人の一人として成長していく物語となっていて、この女の子を支えようとする男性陣がとにかくかっこいい。
恋愛もあり、最後まで誰とくっつくのかな?うふふ、という形でも楽しめます(笑)
そして、読み進んでいくと、「なんと!!」と声を上げたくなるような衝撃が各所であり、伏線も随所で貼られていたことに気が付き、こういうことだったのか!とラストで色んな事が発覚し、「えええ!!」となってしまいます。
ミシャという少女の成長を通して、力を得るということはどういうことなのか、才能を得るということはどういうことなのかを感じ取る事が出来、とても勉強になり、励まされました。
何かに一生懸命取り組んでいる方や、打ち込んでおられる方などにもぜひ読んでいただきたい物語です。
きっと励まされ、苦しい時もまた前を向ける、そんな作品です。
幼い頃に異世界からやってきた少女ミシャは、前作を読んだ方にはもうお馴染みのアルタセルタ、ローウィン、そして銀髪の魔導士セトルヴィード、その護衛騎士のコーヘイをはじめ、多くの人々に愛されて育っています。
大切に育てられている彼女は、それでもその生い立ちのせいか、どこかアンバランスで、自分の身を顧みない危ういところも。
自分のことに無頓着だった彼女が、やがて自分の想いを自覚してすぐに見舞われる苦難。それを経て大きく変わっていく中で、彼女が触れたこの世界の大きな秘密に思わずため息が洩れました。
どこか荒削りな原石のような手触りと、ごく緻密に織り上げられた人々の想いが心を打つ、一人の少女の成長物語であり、彼女を見守る人々の苦悩と葛藤と優しさの物語でもありました。
ほっこりシーンもありつつも、根底にどこか辛く切ない空気の漂う本編が見事な大団円を迎えた後の番外編はもう本当に格別でした!
個人的には某団長と護衛騎士が二人で永遠に幸せになってください……! と思いつつ、ついでに報われない某副団長の幸せを祈らずにはいられません(大好き!)