幼馴染に彼氏ができたので距離を置こうと思う

りっきー

高校一年冬

『幼馴染に彼氏ができた』

 



 俺、神山愁(こうやましゅう)至って平凡な高校1年生なのだが、俺にも注目すべき点がある。


 それは幼馴染がいることだ。


 普通に考えたら幼馴染がいたら恋仲など色々なってるかもしれないが俺の場合恋仲ではなかった。


 幼馴染の篠崎真理亜(しのざきまりあ)は美少女と言えるからだ。


 勉強も運動も至ってそこまでないと思うがそれでもカバーしきれるほどのコミュ力がある。


 明るいしみんなからの信頼も厚く、俺にとっても自慢とは言い難いがもったいない幼馴染ではある。

 と思っている。


 幼馴染特有の『大人になったらお嫁さんになる!』と言うのもよくやっていたが今となっては覚えてすらいないだろう。


 俺も冗談半分で覚えているくらいだしな...。


 妙な期待は抱いていない。



 ◇



「おっはよー!愁!」


「ん、ほぉはよ〜」


 この通り朝から元気だった。


 俺は高校生になると同時に俺が一人暮らしを始めたが、高校が同じところのため、毎朝俺の家へ寄ってきている。


「も〜元気ないね?どうしたの?」


「ほら、冬って寒いじゃん?眠いじゃん?もう出たくない」


 何も意味などない話ばかりを繰り返していると突然真剣な表情で見つめられた。


「あのね?愁...」


「んー?なんだ?」





 そして、俺の幼馴染は告げた。





「私、彼氏できたの.....」





「え?」



 それは突然すぎて俺は驚きを隠せなかった。


「そうなんだ、おめでとう...」


 ここは幼馴染として、祝福をするべきだと考えた俺は「おめでとう」と何度か小さな声で呟いた。


 お陰様で俺の眠気は吹き飛んだ。


 別に幼馴染が好きだったと言われるとそういう訳ではないと答えれるだろう。


 だが長年一緒にいた幼馴染に突然彼氏ができるというのはいつもの日常に変化ができるということで俺は少しだけだが嫌気がさしていた。


「それでね、明日から一緒に登校することになってるんだけど...」


 顔が真っ赤になっていていつもみたいな迫力がなくなっている。


 こんな幼馴染は今までに見た事がない気がした。


「──ねぇ!話聞いてる!?」


「ん?あぁ、聞いてる聞いてる」


「だから明日から私愁の家行けなくなったから朝遅れないようにね?」


「あぁ、わかった」


「うん!それじゃあ分かれば良し!」


 そう言って走り去っていってしまった。


 この日の俺は絶好調と言えばいいのかわからないが眠気が覚めて授業中寝ることが1度もなかったが先生に寝ていると勘違いして当てられた。


 あのゴリラ...覚えておけよ!


 俺は心の中でそう投げかけたがあのムキムキのゴリラに勝てそうにはないなとすぐ諦めた。

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