第4話

「......ダメだ」

「おー、これはなかなか......」

自室にて。

俺はテーブルに、自分のパソコンを置いて小説を書いている。

それで、対面の方では、俺が今までボツにした小説を読んでいる朱莉がいた。

「次何書いたらいいんだ......」

小説を書いていて思う事は、次何を書いたらいいか分からなくなること。

つまり、ネタが無くなっていくのだ。

最初の方は、ネタがあるのでまだ書けるが......次々と書いていくと、最終的にはネタが無くなっていってしまう。

「ふぅ......」

と、対面の方からため息のようなかわいらしい声が聞こえた。

「どうだった?」

「あ、はい!すごい面白かったです!その、強いて言うのなら......同じことの繰り返しのような展開か多いことですかね......?」

「あー、やっぱりな......結局そこなんだよ、結局同じ展開と言うか、シチュエーションになっちゃうんだよな......」

今考えてみれば、同じシチュエーションでも、中身を変えれば何とかなったのではと思う。

でも、同じシチュエーションというか、同じ場所で、やることを変えるっていうのもなんか......もっと別な場所があるのでは?と思う。

場所は同じでやることは違う......みたいな?

自分でも何言ってるか分からない。

「それで、そっちはどういうのを書いてるんですか?」

と、朱莉は俺のパソコンを覗き込んできた。

「あ、いや......その、何書こうかなって思っててさ......一応、登場人物としては朱莉を入れたけど......なんか......違うというか......」

「うーん......もっと登場人物増やしてみます?」

「それも考えたけど......対象となる人がいないからさ......まあ、自分で考えればいいんだろうけど、俺は対象がいないと......」

「対象......ですか......あ!1個私にあてがいるんですよ!」

「へぇー、どんな?」

「まあ、一度見た方が早いです!1つだけ言っておくと、私と同じ小学4年生です!」

「おー、それはありがたい」

「それでは、ちょっと行ってきます!」

すると、朱莉はそのまま俺の部屋を飛び出して行ってしまった。

「うーん、同じ小学4年生?同級生ってことか......楽しみだ」

という訳で、俺は朱莉が帰ってくるまで、適当に考え事とかをしていた。


「と言う事で連れてきました!」

「あ、よ、よろしくお願いします......ええと、お兄さんのモデル?になってほしいってことだったので、朱莉に連れてこられました......」

そこには、ちょっと内気なのか朱莉の後ろに隠れているかわいい子がいた。

「やあ、君の名前は?」

「あ、暁ゆあ......です」

「ゆあか......よろしく」

「は、はい、よろしくお願いします......」

うーん......こういう性格か......嫌いじゃない。

俺の考えとしては、内気な子ほど言ったことにはすぐやってくれると思っている。

だから、ここはやってみようと思う。

一生に一度は言われたい名前があるからさ。

「俺は、悠真、好きに呼んでいいよ」

「あ、はい......だったら、お、お兄ちゃんでいいですか......?」

.................俺が言う前に言ってくれた。

これだよこれ!一生に一度は『お兄ちゃん』って呼ばれたかったんだよ!

「も、もちろん!!」

もちろん俺はものすごい嬉しい。

「あ......えへへ......」

ゆあは、朱莉の後ろに隠れているがうっすらと笑みを見せた。

「ね?悠真さんは悪い人じゃないって」

「う、うん......だけど......」

「だけど?」

すると、朱莉とゆあは小さな声でヒソヒソと何かを言っていた。

「大丈夫だって、すぐにそうなるから」

「あ、うん......!私、が、頑張る......」

何か聞こえるが、その全部は聞こえなかった。

「それで、悠真さん、どうですかこの子?」

朱莉は、ゆあを一歩前に出して言う。

「あ、うん、かわいいと思うよ。これなら、使えるかな......?」

「良かったです!さ、ゆあ、悠真さんとお話しでもしてきな?」

「う、うん......っ」

すると、ゆあはゆっくりとした足取りで、俺のとなりにおずおずと小さな体を寄せてきた。

「ふぅ......」

すると、ゆあからは小さなため息がこぼれた。

「あ、こ、これは......!」

ため息が聞こえたと思ったのだろう。ゆあは、顔を赤くして俯いてしまった。

「あ、大丈夫だよ、そういうのがかわいいからさ」

「あ......」

そして、幾度となくゆあの頭を撫でるが、ピクリとゆあの体が反応した。

多分、触られたことがあまりないのだろう。

「......?」

なぜかゆあは、俺の顔を見つめてくる。

多分......なぜ頭を撫でてるの?みたいな感じで見てると思う。

「......えへへ......」

そして笑みを浮かべるゆあ。

「お、お兄ちゃんは、どんな作品かいてるの......?」

「まあ、小さい子が出てくるファンタジー系......かな」

「そ、そうなんだ......み、見てもいい?」

「うん、いいよ」

と、今まで敬語だったゆあが、友達のようにタメ口で話してきた。

こっちの喋りの方が、俺としては話しやすい。

まあでも、朱莉のような敬語もいい。

「へぇ......わ、こんな描写も?でも......面白い」

と、ゆあはさっき朱莉が座っていたところに座り、俺の小説を読んでいた。

そして数分後。

「......面白かった」

ゆあの口からは、そんな声が漏れた。

「お兄ちゃんの作品......すごい、面白かった......」

「そ、そう?それは、ありがとう......」

ゆあは、先ほどと同じくおずおずと俺の隣に寄ってきた。

「それで......どうします?これから、小説書きますか?」

「そう、だな......うん、書いてみるよ」

「あ、はい、それじゃあ......私は、リビングに降りてますね」

「あ、うん」

そして朱莉は、俺の部屋から出て行った。

「ふぅ......あ、そうだ、一つ聞いていい?」

「な、なに......?」

「おっぱい見せてください」

「お、おっぱい......?ええと......は、恥ずかしいから、見せられないけど......」

「それは残念......」

「あ、で、でも!触らせてはあげるけど.....」

......そんな事言っていいんですかゆあさん?!

自分には、何か出来ないかと考えているのだろう。

「え、あ、う、うん......?」

こうなってくると、俺は触っていいのかと一瞬迷ってしまう。

「は、はい......」

と、ゆあは大きくもないおっぱいを俺に突き出してくる。

「じ、じゃあ......」

「んっ......」

と、ゆあから声が漏れた。

「あ、ど、どうも......」

「えっ?も、もう終わり......?」

「あ、うん......一応、これぐらいにしておかないと......」

これ以上触り続けたら、良くないことが起きてしまう。

というか、さっきのゆあの反応って......もしかして、性に興味があるのかも......?

まあ、それは後々やっていくとしよう。

「そ、そっか......もうちょっと、触ってほしかったな......」

ゆあは何か言っているが、俺には声が小さすぎて聞こえなかった。

「とりあえず......書いていくか」

「あ、うん......が、頑張ってね、お兄ちゃん」

「おう......!」

幼女からお兄ちゃんと言われて、すごい嬉しい。

その嬉しさを噛みしめながら、小説を書いていくのだった。




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