俺の召喚獣は刀とスパナを持っている
森 椋鳥
第1話 王即位の式典
大きな理由がない限り、家を継ぐのは長男、長女と決まっている。これは昔からずっと変わらない家族での法則だ。だから、次男に生まれた俺には家族のことなど全く関係のないことだ。
兄が毎日、親に期待をされながら勉強や習い事をやって生きてきた中、俺は親に見向きもされないで自由気ままに生きてきたとしても、俺には全く何も感じなかった。
家では親の次に長男が一番偉く、次男なんて二の次だから。
「よく似合っているぞ、リョウバ」
緑が豊かな国で、一番大きな城。その中の中心にある広間に、玉座がある。そこに、太陽より強く輝いている豪華な装飾品に包まれ座る顎鬚を生やしたおじさん。見てわかる通り、この人がこの国の王だ。そしてこの俺、リョウバの実の父でもある。
「ありがたいお言葉です。父上」
俺はゆっくりと頭を下げた。だが、本心はそのようなことを一切思っていない。
今俺は親父と同じように、茶色の短い髪からつま先まで装飾品に着飾られている。俺が動くたびにキラキラ、ジャラジャラ、とうるさい。身長が平均的で、黒い目が思いっきり吊り上っている俺には全く似合わない物だ。一体こんな物のどこがいいのか、俺には理解不能だ。
「今日は大切な式典だ。失敗など許されない。我が国の恥になるからな」
「わかっています」
たかが王即位の式典、それを失敗しただけで国全体の恥になるなんて馬鹿げている話だと俺は思う。
「それともう一つ、低級は絶対に出すな」
「はい」
「お前はあいつと違うからな、心配で仕方がない。もう下がれ、時間になるまで自室にいろ」
「……はい」
俺はもう一度頭を下げて、広間を後にした。
広間のすぐ横の壁、俺はあの親父の言葉に苛立ちを覚え、思いっきり殴った。その拳のせいか一瞬、城全体が揺れた気がした。
「当たり前のこと言って、比べやがって、あの糞親父!」
周りなど気にせず、大声でそう言ってやる。
「リョウバ様、お父上様とのお話は終わったのですか?」
俺のすぐ後ろに一人の燕尾服を着た短髪の男が立っていた。
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