お迎え

 それは、おじいちゃんの命日のころのお話。

 突然、母が変なことを口にしだした。

「最近、おじいちゃんがそこに立っているの。おいでおいでって、手招きしている」

 気のせいだと言いたいところだったが、もしかしたら、そうなのかも知れない。俺はそういったオカルト話を信じる人間だ。

 その次の日も、母は祖父の幻影を見たという。

「また、おじいちゃんが立ってた。あたし、もうすぐ死ぬのかね」

 そして、また次の日。母はこう言った。

「おじいちゃんだと思ってたのは、冷蔵庫に映ったあたしだった」


 じつは舘田家では、冷蔵庫を新しいものへと買い替えていた。いままでは白い冷蔵庫だったのだが、今回はメタリック・シルバーにした。そのせいで、母は冷蔵庫に映った自分の姿を、おじいちゃんの幽霊だと錯覚していたらしい。

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