パンの耳
母は米農家の生まれだ。けれど、米よりもパンのほうが好きだ。
「なんか喰った気しねえ」
そうぼやいてから、デザート感覚でトーストを食べるのが母の習慣だ。
母はパンの耳は食べない。まるでハトに餌でも与えるかのように、トーストの耳をちぎっては皿の上に載せていく。それを食べるのは、俺の役目だ。
そういえば、子供のころ、食パンの耳を油で揚げて砂糖をまぶしたものを、おやつとして出されていたけれど、あれって――。
母はパンが好きだ。けれど、パンの耳は嫌いだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます