ナッパ

「確認するぜ? 今日のおかずはいったいなんだ?」

 食卓に着くなり、俺は母にそう訊ねた。

 例のごとく、食卓の上には色とりどりの料理が、所狭しと並べられている。もやしを茹でたもの。ナスを炒めたもの。小松菜を茹でたもの。ほうれん草を茹でたもの。ブロッコリーを茹でたもの。里芋とイカの煮物。切り干し大根の煮物。切ったトマト。冷ややっこ。たくあん。白菜のお新香。etc.

「あんた目悪いの? 目の前にたくさんあるでしょう」

「副食はどれかと訊いている」

「フクショク? なんだい、フクショクって?」

「メインのおかずは、なにかってことだよ!」

 母はまるで要領を得てくれない。

「これで、どうやってご飯を食べろと?」

「あんたは本当にめんどくさいねえ。おかずがないと、ご飯が食べられないんだから」

「あなたとは違うんです」

「あたしなんか、味噌汁と煮物と、あとはなんかナッパさえあれば、それで十分ご飯が食べられる」

「じゃあ、なんであんたはそんなに太っているんだ?」

「ちくしょー!」


 ナッパって、そっちの?

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