新説 桃太郎

山井さつき

第1話 プロローグ




「お婆さんが洗濯機使ってたらどうなってたんだろう。」

「...何の話?」

「桃太郎。桃はそのまま流れていくのかな?」

「んー、分かんない。」

「そのまま流れて海に出て、どこか見知らぬ大陸に着いて、桃太郎王国なんかを築いてたら面白いのになぁ。」

「多分、それはないと思うよ。洗濯機があるならダムとかもあって、どこかで止まるんじゃない?それに海を漂ってる間に桃は腐っちゃうし。そもそも見知らぬ大陸なんて、どこにあるのさ。」

「君のそういう理屈っぽい所、嫌い。」

「あぁ、そう。」

「怒ってるの?」

「怒ってないよ。」

「ほんとに?」

「ほんと。」

「ほんとのほんと?」

「ほんとのほんと。」

「ふーん。じゃ、きびだんごがなかったら?イヌ、サル、キジと友達になれなかったのかな?」

「んー、多分、桃太郎はとても友好的な人なんだよ。だから、きびだんごがなくても三匹と友達になれたと思うよ。」

「なにそれ。やっぱさっきの怒ってる?」

「さぁ。」

「もういいっ。」

「ん。」

「でも想像するのって楽しいねっ。」

「...ん。」

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