マリーの告白
小鈴なお 🎏
上
「ぐ、だー」
「ぐ、だーっ!」
朝はいつも二人で登校する。
「おはよ、
「
「やだよ」
「ぐだ~。めっちゃかったるそうでしょ! これ絶対
「
お
もう3月も終わる。
開花が
今日は
それなのに私、
「それで、なにそのでかいの」
ふふん、気付いてしまったか。
「秘密兵器!」
しゅぴーん。私はあごの下で親指と人差し指を直角にする。
「なんじゃそりゃ」
「聞きたい?」
「別に」
この場合の「聞きたい?」は「聞いて
「聞いてよー」
「じゃあ、ひゃくまんえんちょうだい」
「出たよ、佳代の
佳代はオトナっぽいボディを手に入れたのと
「う。まあいいや、話してみ」
それでよろしい。
私は今日、一世一代の
「学年変わったら、クラス
そうだね、とうなずいてから
「咲、今までありがとう。
「うん! 絶対手紙書くからっ!」
とりあえず二人で
「それで?」
「区切りつけようかなって。私、
もうこの話は何度したか覚えていない。
「大好きだね。ほんとに吉田くんが良いんだよね?」
「またそれ。いいじゃん吉田くん。背高いし、話しやすいし。か、かかかっこいいし」
佳代が
「その
「いや、咲と好みがかぶらなくてよかったなって」
まあね。
私もそう思う。
「同じ人を好きになって、佳代を悲しませたりしたくないしね」
「ちょま、なんでわたしが負ける前提なの! で?」
「まあ吉田くんもほら、そこそこ私のこと気にはなってると思うんだよね」
佳代は満面の
……なんか言え。
「吉田くん、少しぐらいは私のこと好きだよね?」
流されそうになったのでもう一度
「――まあそうね、脈はないこともないような気もしないでもないんじゃない? あ、たんぽぽ」
「でね、昨日吉田くんと竹下くんが話してるの聞いちゃってさ」
理科室とか技術室とかの特別教室が並ぶ
「ほう。なんて?」
竹下くんの声
「『お~まえ、佐藤さんと付き合わないの?』って」
竹下くんって話し始めがちょっと伸びるんだよね。
「ぶはっ! 似てるなっ!」
「ちょっと佳代! それなし!」
がにまたで
これでも、自分がおっさんくさいのを佳代は気にしている。今のはアウトだったよ、って時は
「それで?」
「吉田くんは『どうかなぁ』、って」
今度は吉田くんの声真似。吉田くんって話し終わり、鼻から
「吉田くんの真似はあんまり似てない」
ちぇ。
「『さ~とうさん
「おお、
「なんでよ!」
本当にそう言ってくれたのだよ。竹下くんまじイケメン。吉田くんの次に。
「続けるよ、『見てて
「ふーん」
「反応
「いやいや。
分かってないなぁ。
人差し指を左右に
「つまり竹下くんと吉田くんの話を合わせるとね」
「うん」
「『佐藤咲は可愛いけどおしとやか過ぎる』ってことになるんじゃないかな」
佳代がぴたっと歩くのをやめて私の顔を
「ちょま、おかしいって。
「混ぜてみた」
「都合よく混ぜるな!」
景気よく私にツッコミを入れた佳代が
「だからさ、ちょっと個性をアピールしていきたいな、って。佳代にも協力して欲しいんだ」
「協力?」
「学校終わったらさ、吉田くん引き留めておいてよ。教室に他の人がいなくなるまで」
しょっちゅう吉田くんの名前を出しているから佳代は
「告るの?」
「うん」
今日の荷物はそのためのものだ。
「分かった、時間
「たっく!」
「たっく?」
「ノルウェー語でありがとう、って意味なんだって」
「それ、本当に合ってるの? わたしが分からないと思ってテキトーなこと言ってない?」
修
それでも、私の告白タイムは刻々と近づいていく。
吉田くん、好きな人いないといいな。
私以外にも吉田くん
教室に戻り、帰りの会も終わって学校はおしまい。クラスメイトが教室を離れていく。
私は荷物を
教室の前に戻って中を
よしいくぞ。
ドアをずばーん、と開けて
「あら
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