従妹《いとこ》の結婚式にて
向野 空
第1話 顔から火を吹く思いやり
今日は従妹の結婚式。
「結婚式と云えば横浜」という認識の僕は、今日は東京での挙式であったことを完全に失念していた。
寒空の下を走り抜け、親族紹介のために用意された集合時間ぴったりに到着した僕は、上下する肩を堪えて、さも当然なような面持ちで颯爽と部屋に入っていった。
僕の後にスッと入ってきた従業員が小声で告げ、後ろをピッ、と引っ張った。
「お客様、タグがついております…」
結婚式前の緊張感で静まり返った小さな部屋では、従業員さんの小声ほど無力なものは無いであろう。
『赤面する』
こういう時に使うものである。
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