第193話 石田三成船長になるの巻

「という訳で、お市様は今は6号艦におられます。それと島左近なる者を捕らえております。1号艦から4号艦は航行不能、他の船も補給物資は少なくなっております」


 そうか。お市救出は見事だ。海軍の手柄だな。だが想像以上に消耗させられているな。


「半蔵。次の報告の前に山県への指示だ。部下に行かせてくれ」


 半蔵は部下を山県昌景の元へ行かせた。


「さて、気になるのは風魔小太郎だが」


「風魔小太郎は、勝昌様を誑かし信勝様を殺そうとしました。信勝様の胸に銃弾が当たったものの鉄板が隠してありご無事でした」


 何だよ、防弾チョッキもどきか。お市やるなあ。


「その後、信勝様の義足から銃弾が飛び出し勝昌様を……」


「死んだのか?」


「はい」


 秀吉め。狙い所が憎たらしい。絶対許さん。結城家を継がせたのは失敗だったのか。いつから調略していたのだろう。いずれ大国を任せるつもりだったのだがコミュニケーションが足らなかったか。


 半蔵は黙ってしまった勝頼の顔色を伺いつつ、次の報告を始めた。


「風魔小太郎ですが、その後前田慶次郎様と戦闘になり双方負傷、大阪城からの甲斐紫電カイシデン攻撃の隙に小太郎は逃げ、その後大凧に乗り上空から我らの気球を落とし真田信綱様を爆撃で攻撃。前田慶次郎様の投げ槍で大凧は落下し、その後小太郎は姿をくらましました。前田様が追っておられます」


 なんだ小太郎の野郎。やりたい放題じゃん。


「信綱は無事か?」


「大怪我をされています。真田軍は昌幸様が指揮をとっておられます」


「東側の状況は?」


「真田本陣は昌幸様が立て直し毛利を圧倒しつつありますが、宇喜多軍が加わってきました。織田、北条軍は加藤清正軍を圧倒しつつありましたが、結城軍寝返りにより混戦。信豊軍が加わったところに黒田官兵衛軍が加わりこれも混戦です。上杉軍は福島軍とお見合いで待機。信平様は蘆名様と合流し毛利の側面を付きましたが、ここも宇喜多軍が加わって混戦。その隙間を狙って遊軍扱いだった佐々様が大阪城に向かいました」


 佐々成政が大阪城の先陣?まだ秀吉は色々隠してそうだが大丈夫か?


伝説龍王軍団ミンナゴーリーはどうなった?」


「弐号機大破、操縦士は離脱して海凛龍王マリンゴーリーに移動。参号機は海岸で浅野軍と対峙中。伍号機大破、操縦士一名は参号機とともに海岸いるところまで確認できています」


 伍号機大破だと!まじか!よく倒したな。まあ兵器一つで勝てる程甘くはないけどな。


我威亜零ガイアゼロはお市のいる6号艦へ向かう。楓マーク2は大阪城の堀と海が繋がるところを封鎖。敵は船を奪うのを諦めてはいないはずだ」





 勝頼の読みは当たっていた。右近と石田三成は大阪城に戻り毛利が楓を真似て製作した楓改10隻を内堀から出航させた。内堀からは途中の跳ね橋を上げる事で海まで行くことが出来る。三成は、


「敵が消耗している今ならこの船で勝てる。急げ!」


 自らが船に乗り込み出航した。右近は報告を兼ねて大阪城に残った。城に戻る際、遠目に大阪城に向かってくる軍が見えたのである。


「殿下。右近只今戻りました」


「戦況は?」


 右近は海岸戦の状況を説明した後、城に向かってくる武田軍の報告をした。


「正信、細川を使って撃退せよ。それと東の状況はどうなっている?なぜ城に向かってこれる?」


「殿下。向かってきているのは佐々成政です。戦場を上手いことすり抜けた模様。空からの攻撃や右近殿の新兵器も活躍はしたものの敵も上手く凌ぎ、ほぼ互角の争いになっております」


「信勝は殺したか?勝昌は?」


「詳細はわかりませぬが失敗した模様。忍び込ませている草との連絡が途絶えております」


 使えぬ奴め。だが失敗したとしても勝頼の子供が1人排除されたのは間違いない。少しずつ削っていってやる。





 勝頼が到着する前に豊臣軍の楓改が大阪湾に躍り出た。10隻全てがまず海岸線で浅野軍を牽制している楓マーク2を襲った。突然予期せぬ攻撃を受け、楓マーク2の応戦が遅れ次々と沈んでいった。海からの砲撃が止んだ事を確認した浅野軍は海岸に向かって進軍を始めた。それを出迎える伝説龍王参号機グレートゴーリー。伍号機操縦士の生き残りの星は、駿河茶々シズオカチャを使い参号機の補給を行なっていた。そこを狙って豊臣軍の楓改が砲撃をしようと準備を始めた時、突然1隻の楓改が沈んだ。海凛龍王マリンゴーリーの鉄の爪が装甲をぶち破っていた。


 慌てて砲口を海凛龍王マリンゴーリーに向けるが、海上を素早く移動し次々と楓改にダメージを与えていく海凛龍王マリンゴーリー


「砲弾を散らせー、当てようと思うな。弾幕を張れば必ず当たる」


 石田三成の指示で無理に狙わず付近に砲弾をばらまく作戦に切り替えたところ、何発かの砲弾が海凛龍王マリンゴーリーに命中し、その後海に沈んでいった。


「ここで遊んでいる時間はない。でかい船に向かう」


 三成は陸地は浅野軍に任せて無傷に見える怒露駿技愛ドロスギアに照準を向けた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る