第194話 勝頼到着

 石田三成率いる楓改は残り6隻、怒露駿技愛ドロスギア5号艦を狙い砲撃を行い大破させた。そのまま6号艦に向かったがなぜか6号艦の周りには楓マーク2が3隻護衛していた。


「まずい、距離を取れ」


 三成はそのまま一番離れている10号艦に向かった。追いかけられる事を想定したのだが、楓マーク2はそのまま動かなかった。


「??どういう事だ?なぜ追いかけてこない?」


 そのまま10号艦、9号艦を砲撃し大破させたが、弾切れとなった。仕方なく補給のため大阪城に戻ろうと再び6号艦の近くを通ったが、やはり敵は動かない。


「うーむ、動けないのか動かないのか?もしや何かを守っているのか?勝頼か?」


 石田三成は6号艦にお市がいる事を知らない。左近が生きて囚われている事も。そのまま大阪城へ戻っていった。





 海岸では補給を終えた伝説龍王参号機グレートゴーリーが浅野軍の鉄砲隊の攻撃を受けながら、


「行け!参号回転翼グレートカッター


 参号機の操縦士 段はジュラルミン製ブーメランを投げ鉄砲隊を怯ませた。その隙に駿河茶々シズオカチャの上に寝転んで隠れていた星が起き上がり、バズーカ砲の様な筒状の武器を構えて敵上空に砲撃を行った。


「喰らえ、極桜華満開弾」


 発射されたのは通常の桜花散撃の3倍大きい巨大手榴弾。まさにパイナップルである。敵の上空3mのところで爆発し、手裏剣をばら撒いた。この攻撃で敵の鉄砲隊の3割が壊滅した。星はよっしゃーと思い、続けて発射しようと装弾する為敵から目をそらした時、


『バーン!』


 星の頭を敵の銃弾が貫いた。浅野兵の中に、豊臣製狙撃用ロングライフル 豊秀丸を使う者がいたのである。


 星は即死だった。


「ほしー!」


 段は叫びながら浅野陣へ突っ込んでいった。胸の4つのV字型ブーメランを全て投げ、頭についている3つのナイフ、そう◯イスラッガーに似たナイフを両手に持って敵を斬り裂き続けた。200人は倒したであろう頃、敵の攻撃方法が槍で叩きつける方法に変わった。


「足だ、足を狙えー!動きを止めろ!」


 浅野兵の指揮官らしき声がとび、攻撃が足に集中した。最初はなんともなかったが繰り返し槍で叩かれるうちに関節の動きが鈍くなってきた。そして300人倒した時、両脚が動かなくなってしまった。


「いかん、このままでは」


 段は正面を見た。10m前に敵本陣があり、いかにも大将らしき武将が踏ん反り返っていた。敵も海岸近くまで前進してきていたのだ。それを見た段はニヤリと笑いながら両腕を前に向けた。


「ダブルスクリューゴーリーパーーーーーーンチ!」


 両腕が回転しながら浅野長吉に向かって飛んでいった。両腕は本陣を直撃し浅野長吉以下旗本毎抹殺した。やったぞと思いつつ段が操縦する伝説龍王参号機グレートゴーリーはその場にしゃがみ込んだ。脚は動かない、腕もない。


「ここまでか。お市様はご無事であろうか?」


 敵は大将を失い統率が乱れていたが、目の前の参号機を見逃す訳はない。参号機に向かって攻撃を続けようとした。その時、


『ヒュルヒュルヒュルヒュルーーーーーどーん!』


 浅野軍の兵がいるところで爆発が起こった。続けざまに爆発音と共に兵が吹っ飛んでいく。浅野軍の生き残りは増援?と思い逃げ出した。


「間に合ったのかな?」


 勝頼の乗る新型戦艦 我威亜零ガイアゼロの砲撃だった。勝頼は望遠鏡『見えるんです』を使って海岸線の戦闘を見つけ、お市より先に砲撃を優先した。どうやらゴーリーは参号機だけは無事な様だ。勝頼は予定通り、楓マーク2を大阪城からの水路出口に配置し、城からの船に備えさせた。そして我威亜零ガイアゼロの指揮を船長の伊谷に任せ、一緒に航行してきた怒露駿技愛ドロスギアに移った。


伝説龍王軍団ミンナゴーリーは参号機以外全滅した様だ。お幸、あいつらを連れて参号機を回収してこい。俺はお市を探す」


 その時、勝頼到着を見た空中にいた気球が降りてきた。気球は3機あり、1機は攻撃に参加し撃墜されたが、残りの2機はわざと何もさせず空中に待機させていた。理由は、いずれ判明する。


 気球の乗務員は伝説龍王軍団ミンナゴーリーの戦い様を見ていた。それを事細かく勝頼へ報告した。


「そうか。ご苦労だった。指示があるまで休め」


 勝頼は気球の乗務員を下がらせて、モーターボート 駿河茶々シズオカチャに乗り、6号艦に向かった。


 6号艦に入り海軍兵に案内されお市のもとへ向かった。


「大御所。しくじりました」


 お市は凍えながらしょげていた。一応着替えてはいたがまだ髪は濡れている。


「無事で良かった。で、駿河はどうした?」


 そう、この海域には戦艦の姿がなかった。勝頼は怒露駿技愛ドロスギアの護衛が少ないことを疑問に思っていた。


「毛利水軍を潰した後、四国の長宗我部の動きを見させるために残してきました。小回りの効く楓マーク2で充分と判断したのですが」


「そうか。その判断は間違ってはいない。敵の作戦が見事だったのだ。まさか水中に潜ってスクリューを潰すとはな。で、その指揮官はどこだ?」


 勝頼は島左近に会いにいった。





 その頃、佐々成政率いる2万の軍勢が大阪城正面に到着し突入の準備を始めていた。


 そして石田三成は補給後再び海に出ようとしたが、出口を封鎖されている事に気付き、仕方なく大阪城へ戻った。あの護衛されている船になんとか攻撃できないだろうか、と考えつつ。

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