第181話 戦線拡大

 伝説龍王参号機グレートゴーリーは、ブーメランを投げては拾い、投げては拾いを繰り返しながら、手に持った小型ブーメランをブレードとして兵を斬り石田軍へ向かって進もうとしていたが、敵を斬りまくったため周りの兵が減り、敵の射線に入ってしまった。


 石田軍はその隙を逃さず、待機させていた残りの鉄砲隊を指揮し参号機に銃口を向けた。段は、


「しまった、調子に乗りすぎたか」


 と左腕を鉄砲隊に向けた。


「スクリューゴーリーパーーーンチ!」


 掛け声と共に左腕の肘から先が回転しながら鉄砲隊に向かって飛んで行った。伝説龍王ゴーリーキングが使用したゴーリーパンチの改良版で腕の取り付け口にネジ山が切ってあって発射時に回転するようになっている。それにより威力が倍増した。


「う、うわー、」


 龍の腕が飛んできたのを初めて見た兵は驚き固まってしまった。と、腕が飛んだ参号機の肘のところから、


「バルカン砲発射」


 と、再び掛け声と共に機関銃が発射され鉄砲隊を殲滅した。バルカン砲を撃ち尽くした後、発射された腕がロープで巻き戻された。伝説龍王ゴーリーキング と同じゼンマイ仕掛けだ。


 と、その時、伝説龍王伍号機ゴーリーファイブ がズン、ズンという足音と共に参号機の横に追いついてきた。伍号機は左手に盾、右手には超ロングソード、そうだ、箕輪城攻めで高さん達が回転斬りに使ったあのロングソードを持っていた。背中には巨大な弓と矢を背負っている。その横に煙突があり、煙が出ているのは蒸気機関車と同じ原理だ。メイン駆動は蒸気なのだ。


 伍号機を操縦するのは像府尹という禅僧上がりの者をリーダーに、進、秀、星の四人だ。高さ8mもある伍号機をまじかにみた石田軍はさらに固まった。正に蛇に睨まれたカエルのように。


 石田三成は、ハッと我に帰り檄を飛ばした。


「弓矢隊、放て、ありったけうちまくれ!」


 矢が放たれた、が、伍号機は全く気にせずロングソードを振り回した。石田軍はそれでも引かず大魔◯じゃない伍号機に立ち向かっていった。三成は全滅覚悟で叫んだ。


「ここで引くわけには行かんのだ。かかれー!」






 秀吉は大阪城から暴れる伝説龍王伍号機ゴーリーファイブ を見ていた。何だあの巨大なロボは?明らかに秀吉の想像を超えていた。煙突から煙ってまさか蒸気機関車の応用?勝頼め、何であんなのが戦国で作れるんだ?その時、右近が現れて


「殿下。上の砲台ですが、西側は被害が少なく撃てるやもしれません。あのでかいのに一発だけでもあててやろうかと」


「わかった。必ず当てろ、あれを抑えている間に信平を討てれば勝機はある。あと例のやつを三成の応援に向けろ、時間稼ぎにはなるだろう」


 そう、東側でも戦闘が始まっていたのである。





 三成が奮闘??している反対側、大阪城の東側には、北に上杉軍、北東に信平軍、東に真田軍、南東に信豊軍が陣を引いている。本多正信は、上杉に福島正則、細川忠興軍一万を、真田に加藤清正、宇喜多秀家軍三万を両側の抑えにあてて、信平軍に毛利輝元軍四万をぶつけた。さらに後ろに黒田官兵衛が一万五千の遊撃部隊で控えている。




 ギャドンを使った信豊軍、真田軍、上杉軍は陣の立て直しを行なっていた。勝頼の予想では城から討ってでてくると言うのだ。狙いは信平軍、もしくは上杉軍だろうと。


 上杉軍は蜂矢の陣をひいた。前衛に兵を集中させる武田八陣の一つだ。もしも上杉に攻撃が集中したらに備えた。前衛が持ち堪えているうちに他の軍からの応援が間に合うだろう。佐々成政は念のため遊軍として信平支援に行けるように信平軍との中間に陣をとった。上杉軍には蘆名幸村軍が合流している。


 信平軍は変型の魚鱗の陣をひいた。三方ヶ原で信玄がとった陣形で正面から受け止める構えだ。真田軍は雁行の陣だ。信平軍に向けて斜めに陣をひき、直ぐに応援に行けるようにした。また、伊達軍が遊軍として同じく信平軍との中間に陣をとった。


 真田軍には、信綱、昌幸のほか、相馬、岩城、里見が加わっている。彼らもこの戦でいいところを見せたいと前衛に陣取っている。昌幸は陸軍司令官として後ろに控えながら何やら準備を進めている。


 信豊軍は偃月の陣だ。場合によっては敵の背後を突こうと意気込んていた。この軍には、織田信忠、本多忠勝、前田慶次郎に加え、佐竹、結城と最大戦力が揃っている。信勝本陣の護りも兼ねているのだが今回は蚊帳の外になりそうだ。敵から見てもここを一番に攻めることは難しい、つまり後回しになるのである。






 本多正信の指示の元、戦闘が始まった。まず毛利軍から大砲が発射された。それを合図にお互いに大砲を発射しながら毛利軍が信平軍に突っ込んできた。信平軍では真田源三郎信幸の指示で、馬避けの柵が縦に三列作られていた。その一番後ろの策のところに鉄砲隊が横に500人並び、その後ろに3列鉄砲隊が並んでいた。そう、織田、徳川連合軍が長篠で武田相手に使ったといわれている戦法をここで使ったのだ。


 がむしゃらに突っ込んできた毛利軍は立て続けに鉄砲に撃たれてバッタバッタと倒れていった。すると、敵の大砲が柵を狙って打ち始めた。それと同時に毛利軍も弾除けの竹襖を前に出し、鉄砲隊を前面に出してきた。




 佐々成政は信平軍の応援に敵側面を突こうとしたが、そこに福島正則が立ち塞がった。同じように伊達小次郎の前には加藤清正が仕掛けた。そして大阪城から国友村の右近の秘密兵器が出撃した。

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