第177話 そんなとこ
勝頼からの通信で5軍団に一斉に作戦が伝えられた。実行は5日後、作戦名『そんなとこ触ったんだから責任とってね』である。が、通信切った後、聞いた各将はなに?それ?となった。意味を知るのは信勝、お市、昌幸と各陣にいる軍監のみである。詳しい作戦が軍監から各大将に伝えられた。
作戦内容は伏せられたが、あちこちで準備が始まった。
秀吉は傍受した内容を聞かされ???となった。何だその作戦?何する気だ?全く意味がわからなかった。官兵衛や正信に聞いてもわからない事を考えても仕方ないので、5日後に備えるべし、とあっけなく交わされムカついたので風魔小太郎を呼んだ。
「お呼びですか、殿下」
「小太郎か。相変わらず顔を変えておるのか。わかりにくくて、ええい、わからなくてイラついている時にお主は全く。まあいい、実は武田の作戦名の意味がわからんのだ」
「それがしに調べろと」
「何か気になるのだ。頼む」
小太郎は城から出て上杉兵の姿になり、上杉軍に潜り込んだ。武田軍は大阪城の大砲の射程距離がわかったので、陣を大きく引いていた。翌日上杉軍は城から2000mのところまで進んだが、その翌日はまた引いた。ほかの陣を調べると上杉軍が進んだ時に同じように進んだのが信豊軍、真田軍で、他の軍は上杉が出れば引き、引けば出るという動きをしていた。
「何だこの動きは?訓練とも思えんが」
小太郎は周りの兵に話しかけたが、上の言う通り動いているだけで何の意味があるかは誰もわかっていなかった。武田の作戦なら何かあるはずだと上杉陣を調べると本陣に大阪城にある盗聴器と同じような機械が置いてある。あれで話ができるのか?近づいて見たかったがだこれ以上は近づけない。他に何かないか調べていると頭体のでかい男が小太郎を見ていた。
「幸村様。どうやら豊臣の間者が紛れ込んでいるようです」
小太郎を見ていたのは山上道及だった。関東出身の道及は小太郎に何かを感じたようだ。以前勝頼から風魔の事を聞かされていてこの戦には必ず出てくるぞと言われていた。恐らくは風魔の者であろう。小太郎は危険を感じ逃げ出した。道及は追いかけようとしたが幸村が止めた。
「大戦の前だ、無理はすまい。あちこちの軍に間者が紛れておるのだろう。これだけの大軍であれば人の出入りを監視するのは難しいだろうが、通達を出せ。周りに知らない顔の者がいたら必ず確認せよとな。景勝殿にも伝えてくる」
話を聞いた景勝は上杉軍だけでなく、
小太郎はこのままでは戻れないと信平の軍に潜り込んだ。兵を一人殺しそいつになりすまして。
翌日、3日目である。突然海軍が動いた。大阪城近くの海に楓マーク2を護衛にした大型空母じゃない輸送船
「さて、ぼちぼちね。作戦開始します。光吉殿、頼んだわよ。例の掛け声はやんなくていいから、どうせここじゃ敵に聞こえないし大御所もいないしね」
「お市様。実は最近癖になってまして、叫ばないと調子が………」
「そ、そう。大御所にだいぶ毒されてるのね。ご自由にどうぞ。ようし、撃って!」
田中光吉は叫んだ。
「全艦発射用意、一号艦発射の後、5つ数えた後に二号艦、その後に三号艦と順番に続けて撃て」
光吉の指示は手旗信号で全艦に伝えられた。
「エネルギー充填120% 、
大阪城までの距離は約5000m、弾は届かない……はずだったが弾は海風にのり外堀の塀に着弾し破壊した。
『ズドーン』という音がして突然塀が崩れた。なんだなんだと毛利兵が向かうとそこに第2弾、第3弾が炸裂し大騒ぎになった。毛利輝元は慌てて、部下に問い合わせた。
「何があった?武田の砲撃か?」
「見て参りますゆえ、お待ちを」
そうこうしている間にも炸裂音が続き、西側の塀が破壊されていく。輝元はとりあえず、兵を西側からとおざけた。
お市は怒露駿技愛ドロスギア の甲板に立てた見晴らし台の上から望遠鏡『見えるんです』で大阪城の様子を見ていた。ちょっと遠いけどなんか当たったっぽいね。おお、塀が崩れた、なんだ届くんじゃん。慌てて下に降りて指示をした。
「光吉殿。外堀の塀に着弾し、塀を破壊しています。お見事です。全艦もう一発ずつ撃ったら、一号艦から五号艦までは待機、他の船はあれの用意をさせてください。あ、次の砲撃は100数えてからにして下さい。終わったと思ったら終わってない作戦です」
城の中では秀吉がイラついていた。海からの砲撃でここまで届くのか。こっちの大砲は大して飛ばんのに。
「右近と小太郎を呼べ」
風魔の小太郎はまだ城に戻っていなかった。城の北東側の信平軍にいたのである。城の方で音がしたため、慌てて城へ向かおうとしたが抜け出る隙がなく、脱出するのに時間がかかってしまった。結局小太郎はこの後、城へは戻れなかった。
右近は秀吉に呼ばれ天守へ登った。
「来たか、あれを見よ!」
外堀西側の塀がボロボロに崩れていた。どこからの砲撃だ。その方向には敵は見えない。ま、まさか海からか?
「まさかとは思いますが海からの砲撃ですか?」
「そうとしか思えん。敵の弾丸を調べろ。直ぐに同じ物を作るのだ。武田にできてお主にできないわけはない、そうだな!」
「は、直ちに」
ん、止まったか。と思ったらまた着弾した。秀吉は石田三成に武田の船をなんとかするよう命じた。
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