第45話 駿河へ
勝頼は次の戦の前に靴を作りたかった。どうもワラジは慣れない。踏ん張りとか、微妙な所で動きが抑制されるんだよな。
製造部に頼んで皆の足型を基に、皮と布で作らせた。
*地下足袋もどき 昔はマラソン選手も足袋だったから走りやすいんじゃない?
*スニーカーもどき 運動性抜群。
*登山靴もどき 岩山も足が痛くならないぜ
高さん、玉さん、伊那忍軍に配ったら好き嫌いあるみたい。この良さがわからんとは!
俺はこれからスニーカーで戦に出るぞ!
信玄は焦っていた。信長は美濃を制圧し、足利義昭を助け上洛していた。
この甲斐にいては上洛できない。流れは信長にある様に見えた。
「海へ出るぞ。弱体した今川を攻める」
武田軍は駿河へ軍を進めた。
今川氏真は、三国同盟を破った信玄に抵抗するため北条を頼った。
だが、北条は上杉に備えていて今川へは多少の援軍でごまかしていた。
今川義元の時代には、駿河、遠江、三河を治めていた今川家も三河は徳川に反旗され、駿河、遠江の国侍は蹴鞠ばっかりやってる氏真には嫌気がさしていた。
信玄は、今川の重臣に寝返るよう調略を巡らせていた。
また、織田信長の配下の様な徳川家康に大井川以西を徳川が、残りを武田が領地とする事を決め共同戦線をはった。
武田軍は、本栖湖から富士へ出る軍と、富士川を下り興津へでる軍に分けた。
駿府へ向かいほとんど抵抗なく進んだが、今川軍は薩埵峠で待ち構えていた。
勝頼は先陣を申し出たが、先陣は山県昌景、真田幸隆ら戦上手といわれる軍が進んだ。
戦いが始まると、敵の内応者らしき軍勢が駿府に向けて引いていったので、挟み撃ちになってはまずいと、全軍が駿府へ引いていった。勝頼は信玄の戦略に感心していた。これで勝てるのかと。
その後武田軍が駿府を攻めるとたいした戦闘をしていないのに今川氏真は掛川城へ逃げていった。
「出番がない、まあ勉強と思うか」
勝頼は重臣方とできるだけ話をした。また、自分の時代に核となる人材を探していた。
信玄は駿府城に入った。
「お屋形様、今のうちに安倍金山を手に入れたら如何ですか?」
勝頼は軍議で申し出た。
「それならもう別働隊が向かって無血で手に入れておる」
あら早い。もう、手に入っていた。
悟郎率いる偵察隊は相良にある木村油田にいた。先行して住み着いた連中との情報交換である。
「棟梁、村の衆の話では何やら海からの荷物が川を上ってきてる、というので見張っていたら確かに川を船が上ってきて、火薬らしき樽がそこから陸路で掛川城に運ばれておりました。刀を持つ者が護衛していました」
「どこからだ?今川を支援とは、北条か?俺は徳川軍の動きを見ていた。浜松までの進軍は速かったが、掛川城に攻めかける気配がまったくない」
「船に乗っていた船頭と話をしましたが。相州訛りがありました」
これは怪しいと、勝頼に報告するため駿府へ向かった。
「何だと?」
勝頼は悟郎を連れ、信玄に調査内容を報告した。
「お屋形様。この者は木村悟郎といい、伊那忍者の棟梁です。某が信頼している忍びです。間違いはないかと」
「わかった、それが事実ならここにいては不味い。北条と徳川が手を結んだのやもしれん」
そうこうしているうちに北条軍が富士川を越えてきていた。武田軍は穴山梅雪の江尻城(現在の清水)を強化し、古府中へ引き上げた。
帰る時に薩埵峠から海を見たけど、富士山が綺麗だった。東名も国1も無いけど。
このままでは挟み撃ちになってしまうからね。逃げるのも風の如し。
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