第37話 信長の思惑

 織田信長は、桶狭間で今川義元の首を取り勢いに乗っていた。松平(徳川家康)も味方になり後方に不安が無くなった。


 義父(斎藤道三)がいなくなった美濃にも遠慮なく攻め入り京を見ていた。

 気になるのは、武田信玄である。


「綱紀、武田の様子は?」


「定期的に贈り物を届けております。今は北条と手を組み上州に目が向いております。こちらに来る事は無いかと」


「そちの気に入ってる勝頼坊はどうじゃ」


「謎の灯りは電気というそうでございます。ただ光るだけで、戦には不向きかと」


「本当にそう思っておるのか、まあよい。武田にはまだ出てきて欲しくはない、勝頼と婚儀を結ぼうと思う。そちには引き続き繋ぎ役を頼む」


 信長はこの婚儀で得る物は大きいと考えていた。沙沙貴綱紀は、これで勝頼にまた逢えると喜んだ。





 婚儀の日、腹違いの妹 お菊とお松がお祝いにやってきた。同行は真田昌幸である。


「昌幸、大儀である。父上はどうされたのじゃ?」


「お屋形様は婚儀に参列したかったのですが、ご重臣の方々が一武将に過ぎない勝頼様の婚儀に参列するのは如何なものかと。義信様と最近不仲故に勘ぐる物がなんたらと。馬場美濃守様は子供の結婚式に出て何が悪いとお怒りでした」


 さすがはご先祖様。発言にすじが通ってる。


「結局上州に不穏な動きがあるとかでご出陣なされました。それでお菊様、お松様がきたのです」


「兄上様、お久しぶりでございます」


 妹、可愛い---------------。前世では一人っ子だったから、妹、萌え----とか言ってる奴を心からバカにしてたんだけど、


『すいませんでした。私めが愚かでありました。 妹、萌え--------』


 この妹を不幸にしてはならない。心に誓う勝頼であった。


 昌幸と戦談義をしていると、綱紀がやってきた。


「勝頼様、おめでとうございます。信長様から繋ぎ役を申し付けられました。ちょくちょく寄らせて頂きます。何卒よしなに」


 ほーら、きたきた。信長め、抜け目のない。


「綱紀、ツナちゃんでいいか?ツナちゃんとよんでいいなら許可するぞ。」


「………。織田家の者の前ではご勘弁頂きたく」


「固いのう。沙沙貴家は由緒ある家柄だしの、わかった。それで許す」


 少しはイジメとかないと、じゃない、釘を刺しておかないと。見かけたら、大声でツナちゃんと呼んでやる作戦。迂闊に動けまい、フ、フ、フ。


 婚儀が終わり、雪姫と2人きりになった。まず、いたす前に話をしたが、信長の妹でお市の方の姉にあたる女性が母だそうだ。て、事はだ。ええと、淀君の従姉妹って事!


 その上、謙虚で優しくて可愛い嫁だった。その日から勝頼は雪姫に溺れた。


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