第21話 お土産

実はお土産に電池と電球を持ってきていた。これ作るのが大変で普通に電気使ってる現代のみなさん、エジソンさん含め過去の偉人さんにもっと感謝した方がいいですよ。

知ってるのと作るのは違うという事を思い知らされました。


助さんなんかめっきりハゲちゃったし。

量産している塩硝と硫黄から硫酸作って、金山から出る鉛や銅、石灰石に花崗岩。

色んな物が手に入るのは幸運ですわ。これで色々作れます。


電池は木箱に蝋を塗って、中に希硫酸をいれる。金山から金を取った残りカスで電極作って電気流せばいわゆる蓄電池ができるのだけど、結構大変だった。

電気でモーターを回して羽をまわすのが扇風機。

その逆をやれば電気が作れる。水力で風車まわしてモーター回して電気作った。


銅もあったので銅線を作ってコイルにしたんだけど、まあ大変。

技術部と工作部総動員でしたわ。


電球はまずはガラス作りから。石を集めて、鉄を溶かすみたいに温度かけて。

あとは、観光地にあるガラス細工屋さんみたいにくるくる丸めて空気を入れて。

フィラメントはすぐに切れちゃって、結局エジソンさんがやってた竹にした。


そうそう、中の空気抜くのが大変で自転車の空気入れの吸い口をイメージしたんだけど、助さんがわからなくて結局あずみさんが作ってくれた。

というわけで製造部で何個か作ってる。これが、この先に効いてくる、経験と知識が増えれば職人だ。


「間者がうようよいる中でこれを渡すのは早計と思える。このまま持って帰るとする」


「では、お土産はいかが致します?」


「諏訪の味噌、格さんのハーブ茶にする。用意しろ」


ハーブ茶は、諏訪の山で見かけた葉っぱがなんか落ち着く香りと味がするので、勝手にそう呼んでる物です。

前世で飲んだ事ないからわからないからいいよね。


翌日の朝、里美さんがやってきた。


「こら、私に挨拶が無いとは何事?」


三条さんの後に行くつもりがあんまりにもムカついてたので忘れちゃってた。やべ!


「これは里美様、ご機嫌麗しゅう」


「麗しくないわ、このガキ!」


「まあまあ落ち着いて。美しいお顔が台無しですよ」


「美しい、そうかなあ。勝頼殿は正直ね」


機嫌直った。え、そんなに単純なの?戦国の女性って。


「で、何しに来たの?あんなに古府中を毛嫌いしてたのに」


「里美様、その言葉使いはいつまで?」


「誰もいなければいいのよ。一緒にお風呂に入った仲じゃない」


「それはもう昔の事では。今回は兄上と話しがしたくて来たのです。武田の跡を継ぐ兄上に」


「で、馬には乗れるようになったのかしら?」


「諏訪からは騎馬で参りました。里美様ほどではありませんが、一応走れます」


これ以上話をしていると、鬼のしごきが復活しそうなのでそこまでで逃げ出した。








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