第15話 8歳になった。

勝頼は8歳になった。塩硝作りは伊那の里に作った培養床が上手くいき、年100貫(375kg)もの塩硝が産出出来るようになり、信玄にことのほか喜ばれ山程碁石金をもらった。

今年からは増産して年200貫はいけるぜ。ちなみに諏訪に作った方はダメだった。温度かな。


格さん、助さん、伊那のみんなにも分けたが無茶苦茶あまったので、次の作戦に取り掛かった。


「軍資金はできた。また、毎年塩硝は出来上がるから定期収入にもなる。伊那の衆には次の仕事を与える。すでに助さんが動いてはいるが、電池はできたか?」


そう、助さんには水力発電か〜ら〜の〜 鉛蓄電池を頼んでいたのだ。一応作り方は教えたんだけどね。


「川の水を貯め、滝のような落差を作り勢いよく水車を回しました。軸の先端に浅間山で入手した磁石を付け回転させ、とぐろを巻いた線を伊那衆が用意した箱に繋いでおります」


そうそう、いいよそれで。昔実験で作った手動鉛筆削りを手で回してモーター回すと電気ができて電球が点灯するってやつの応用版です。


「それでいい、電気が貯まっているかを確認するのに電球を作る」


「は。早速やるぞ」


塩硝で儲かったので信頼度アップしてるね。良きかな良きかな。



電球作りは任せて街に出た。なんせ金はあるのだよ。たまには館の飯以外の物も食べたいじゃん。


何不自由なく生活できてて贅沢かもしれないけど、あと何年かしたら戦場デビューだからいまのうちにやれることはやっとかないと。


街に出ると言ったら、護衛ですといって吾郎が若い女の子を2人付けてくれた。

ちょっとポッチャリで愛嬌のあるお幸と、スリムでいかにも運動ができそうな楓である。

2人とも15歳位かな。俺が8歳でなかったら、あんな事もこんな事も……以下自粛。


吾郎によると、今後この2人が連絡係兼護衛になるらしい。てことは強いのね。


街で買い食いしていたら、大声で守役(いわゆる じい という立場の人)の辰次が

叫んでいた。


「四郎様、四郎様、四郎様」


あ〜うるさい。


「じい、ここじゃ。どうした大声で」


「姫が、姫様が」


「@#¥#@@」

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