第13話 伊那の忍び

格さんには塩硝作りを、助さんには秘密の計画を申し付けた。

もちろん前世の知識のない2人は目を白黒させて、出来ませんって言いそうになったので睨んだら無言になっちゃった。


パワハラです。この時代では問題ないけど以後気をつけます。


ちなみに2人とも25歳くらいかなあ。6歳にびびってしまう、権力って怖い。



少し時間を遡ります。


父上に部下が欲しいと言う前に、諏訪の山から諏訪湖を見下ろし塩硝の作り方を思い出していた。


中学の時化学部で、硫黄と硝石と木炭で火薬作ったときに、何となく硝石について調べたんだよね。


あ、硝石の事をこの時代では塩硝と呼んでました。

まさか、ここで役に立つとは。よく無駄な経験はないって言うけどその通りです。

諏訪って山だから米はあんまりとれないけど、稗、粟、蕎麦が取れる。これが役に立つのですよ。


ふと、気配を感じ振り返ると、木陰に人がいた。


「誰だ、忍びか!」


一度言ってみたかった。呑気な俺。


「気配を消していたつもりだったのですが、初めてお目にかかります。伊那の吾郎と申します。伊那の山の木こりです」


「嘘つけ!忍びだろ?誰に仕えてるんだ?」


「四郎様、武田には敵が多くおります。諏訪、高遠、伊那、木曽、それに信濃にも武田に従っている振りをしている者は大勢おります。護衛もなしに出歩かれるのはお控えいただいた方が良いかと」


本当に忍びだった。言ってみるものだ。


「で、吾郎は味方なのか?」


「さて、どうお答えすれば良いか。まさか見つかるとは」


「母上か?」


「四郎様は賢いお方だと伺っておりましたが、何故おわかりになられましたか?」


「敵意が感じられん。伊那の者であれば甲斐は絡んでないだろうしな、当てずっぽうだよ」


「参りました」


「参ったついでに我に仕えんか。忍びの配下が欲しいのじゃ。流石にまだ父上には

忍びが 欲しいと言うのは早すぎるしの。伊那忍者は何人おる?」


「里の者全てで100人程でございます」


「そうか、今、金儲けを企んでおる。乗らぬか、成功したら報酬ははずむぞ」


「湖衣姫様にご相談申し上げてもよろしいですか?」


「構わぬ。良い返事を待っておる」



忍者を手に入れた。といっても物凄い忍法が使える訳ではないのだが。いつの時代も

情報戦を制するのが基本なのです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る