0-2
―――
「シアンッ!お前、また時計台から飛び降りたな!?あれほどやめろって何度も言っただろーがッ!」
ただいま、と声をかける前に怒鳴り声を浴びる。それから、拳骨が降ってきたのを、咄嗟に避けた。
「おい!避けんなよ!」
「…ぜったいに、痛い。」
嫌だ、という意思表示を、首を振ることで示しつつ、「リーダー。…ただいま。」と目の前で怒鳴っている男にそう呼び掛けると、リーダーははぁ、と溜め息をこぼした。
「…おかえり、シアン。」
少し苦笑をこぼしつつ言ったリーダーは、最後に小さく笑みを見せてくれた。その表情に少し安心を感じつつ、「…報告。」とボソリと言うと、来い、というように顎で奥を指した。
リーダーの後に続いて奥へ進むと、本部に帰ってきていた人たちが、次々に「おかえり。」と声を掛けてくれることに、あたたかいものを感じる。
…少しそれに、戸惑いも感じていた。
「オレェにもぉ、おかえりぃ、欲しいなぁ。」
いつの間にか、チュンは透き通るような白い髪、毛先はピンクに染まっていて、鳥の姿と色合いは変わらない。僕と同じブラウンの瞳は少し浮いている気がする。そんなチュンの姿を見ながら、周りの声に耳を傾ける。すると、「シアンもチュンもおかえり。」という言葉が聞こえ、「ただいまぁ。」と上機嫌な相棒の声に少し口元が緩んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます