巨乳好き勇者、世界を救う!?

@raitiiii

第1話 勇者になります!

 どこにでもいる巨乳好きの平民の主人公はある日女神様に勇者に選ばれました。


 女神様は主人公に言います。


「魔王を倒してこの世界を救ってください」と。


 女神様は主人公が巨乳好きだということを知っています。


 さらに、巨乳は巨乳でも身長が低いのに、胸は大きいことを好むことを知っていました。


 女神様の身長は150cm、胸のサイズはGカップでした。


 そんな私の言うことを、この主人公は断るはずがないと鷹を括りました。


 しかし、主人公は勇者になることを拒みます。


 これには勝利を確信していた女神様は開いた口が塞がりません。


 焦りながら女神様は主人公に近づいて理由を聞きます。


 その時、主人公の目線が胸にいっていることを女神様は感じ取りました。


『なんで私の胸を見ているのに、断るのよ!?』


 女神様はそんな気持ちを抑えながら、顔には笑みを浮かべて優しく話しかけました。


 すると、主人公はこう言いました。


「すいません。 俺の中での巨乳って、EとFの2択なんです。 Gはちょっと守備範囲外ですね。 あ、でも、結構女神様いい線言ってますよ!」


 そんなふざけたことを言われて、女神様はキレそうになりました。


 ええ、それはたいそうキレそうになりました。


 どれぐらいキレたかと言うと、夫が浮気をしていたことを知った妻並みに怒りました。


 女神様はイライラし、『こいつはダメだ。 こいつよりは勇者の素質は弱いけど、容姿端麗で料理上手、オシャレで、私の趣味(乙女ゲー大好き)を理解してくれて、私を甘やかしてくれる20代知的男性を探そう』と思いました。


 もう途中から女神様の趣味がダダ漏れです。


 そうです。 この女神様もどこか残念なのです。


 女神様は主人公から離れて、溜め息をつきます。


 そんな女神様の姿を見て、主人公は『ラッキー! 勇者なんてやってられるかよぉ!』と思いました。


 女神様は主人公の前で名簿ファイルをめくり、次の候補を探します。


 そんな女神様の姿を見て主人公は『早くこの白い空間から出してくれよ……俺、こう見えて忙しいんだぜ? これから俺、秘宝(アッハーンな本)を友人から貰いに行くんだからよぉ』と思っていました。


 そんなことを思っているとは知らない女神様は主人公のことなんて忘れて、名簿ファイルを捲っていきます。


 しかし、なかなか女神様の条件に見合う人がいません。


 それもそのはず。 まずこの勇者候補の名簿ファイルには全世界で50人ほどしか載っていません。


 そんなに少ないのに、女神様の希望する勇者なんているはずはありませんでした。


 女神様ははぁ〜と溜め息を吐きます。


 なぜ、この条件の勇者候補がいないのかと落胆したからです。


「あの〜女神様? そろそろ元の世界に戻してほしいんですけど……」


 主人公は遠慮気味に尋ねました。


 女神様はその時に、『あぁ……そういえばこんな巨乳好きがいたな』と思い出しました。


 とりあえず疲れたから、好きな乙女ゲーをやって、さっさと寝てしまおう。


 女神様はやさぐれた気持ちになりながら、主人公を元の世界に戻す準備を始めました。


 主人公の周りには白い光が漂い始めます。


 主人公は『やった! 帰れる!』と嬉しい気持ちになりましたが、女神様の前なのでそれは態度に出さない様にしました。


 女神様に向かって自分の性癖を言い、あまつさえいい線いっていると思いますよ!なんて、上から目線で舐めた口を聞いたくせにです。


 この主人公、どこかネジが飛んでいるのでしょう。


「さぁ、主人公よ。 あと30秒ほどしたら元の世界に戻れるでしょう」


「ありがとうございます女神様!」


 女神様と主人公の会話はそこで途切れました。


 お互い無言です。


 女神様はそんな主人公を見ていると、なんだか無性に腹が立ってきました。


 この男にギャフンと言わせたい!という思いが湧いてきたのです。


 しかし、なにを言えば主人公をギャフンと言わせられるのか分かりません。


 女神様は少し考えました。


 そして、下を向いた時、自身の胸が視界に入りません。


 その瞬間、なぜか女神様の頭には雷が走りました。


 根拠も理由もありません。


 しかし、なんとなくこれはギャフンと言わせることができると思ったので、特に深く考えずにこう言いました。


「そういえば、私の胸ってFよりのGカップなんですよ」


 それを聞いた主人公はというと—————









「なにぃぃぃぃ!? それを早く言ってくださいよ! やります! やりますよ勇者!! ぜひやらせてください!! あ、この白い光早く消して! 早く消してくださいよ女神様!」


 目は血走り、鼻息は荒く話しかける主人公。


 そう。 


 彼は巨乳はEとFしか認めていませんが、EよりのDカップとFよりのGカップは守備範囲内なのです。


 それに加えて女神様は金髪碧眼でロングの綺麗な髪、服も清楚。


 さっきまでは胸が守備範囲外でしたが、守備範囲内になったことで、主人公の中では美人な女神様→むっちゃ綺麗で胸も大きくて完璧な女神様にクラスチェンジをしたのです。


 これには女神様も主人公もビックリ。


 もう意味がわかりません。


「ええっと……じゃあ、今日から勇者になってもらってもいいですか?」


「はい! 喜んでー!」


 主人公は片膝をついて首を垂れます。


 それはまるで忠誠を誓った誇り高き騎士のようでした。


 まぁ、こいつは巨乳好きなただの変態なんですけど。


「じゃ、じゃあ、加護をさずけますね……」


 女神様は主人公の変わりっぷりにマジでドン引きしながら加護を授けてくれました。


 その加護は魔力が無限、どんな武器でも達人並みの腕前になるというチート加護でした。


 そんなチート加護をもらった主人公は元の世界に戻り、魔王を倒すために魔王城へと向かったのでした。

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