無我夢中症

週寂

短編その8

「それらの窓はきちんとした傷跡のように見えるね」とKさんが言った。

 彼はやや極端な人であり、単純なことに満足することもあれば、一言も言わずにいきなり落ち込んでしまうこともある。彼は大体において悲観主義者だ。悲観の裏には天真が隠され、天真ながら現実を全然無視するわけでもない。

 中学生の時、Kさんと知り合いになった。反抗的で孤独でセンシティブな時代であり、まるでどこかに不可解な炎が燃えているかのように感じた。彼はいつも独りぼっちだった。そして好きだった小学校のきれいな臨席の女生徒が多くの人々の注目を浴びて訪ねてきて、観客の好奇心と嫉妬深い目を惹くなど不合理で密かなファンタジーを抱いていた(彼は昼休みにデスクに突っ伏していると、お客さんですよと他の人が彼を気づかせたのだ)。

 もちろん、それらのファンタジーは自然消滅してしまった。その後、進学を経て、離れ離れになった。彼は恋をし、父が亡くなり、失恋し、再び恋に落ち、再び別れ、そこで狂ったが、無事に治ったそうだ。

 卒業してから就職し、そして結婚した。退屈な台本どおり報酬が支払われなく演じるような生活だった。以前の不可解な炎はほとんど燃え尽き、サバイバルに疲れてきた。洞性頻脈が抗議して、彼はしばしば呼吸が困難になっていた。

 学校でも職場でも、彼は卓越性に関与したことはなく、最も無視される部門で最低レベルの仕事をしている。仕事は同僚とよく連絡を保つ必要がない。社交性に乏しいため、友達はいなく、身寄りは妻だけだ。不幸なことに、妻との価値観の食い違いが日増しに拡大&悪化している。


 今回は偶然に改めて連絡を取った。酒飲みとか暇があるかと私に尋ねた。それで、我々は30分ほど北京の東三環をぶらぶら歩いた。

「窓、特に住宅の窓を眺めるのが好き、いずれの裏にも各自の物語があり、悲しみと喜びが混ざったり、つまらなかったりするかもしれないが、僕の想像では、すべてがとてもロマンチックで、それらの想像が暖かく支えてくれて、寂しいことを忘れさせてくれる」

 Kさんは言い終えてから黙り込み、私は無駄な返事を加えなかった。そこで我々は都市と呼ばれる巨大機械の運転に飲み込まれて歩き続いた。車が車道を走り、人々が人道を歩き、みんなが自分の行き方を知っていたらいいのに。周りにはきちんとしたランニングをしている人もいるし、食後で犬を散歩させるカジュアルな人もいるし、主人を散歩させる犬もいる。バス停の前には無表情で無愛想な終業のサラリーマンが数多く立っていた。

 結局、我々は酒も飲まずに別れ、家に帰って初めて夕食を食べるのを忘れたことに気づいた。


「どこへ行ったの?」と妻は不快に尋ねた。

「Kさんとちょっとチャットした」

「冗談はお止めよ、Kさんがあなたの虚構したキャラクタでまったく存在しないのじゃないか。ちょっと走り回らないで!」

 もう彼女に言うべきことは何もないことを知っていた!彼女は私が仕事で疲れているかどうかを気にかけず、私が情熱的にシェアしたいことをも無視していたし、一緒にいるとき、いつも自分のケータイの画面内容に夢中で馬鹿笑いしてばかりいた。私たちのさまざまな価値観が救いようがないほど食い違っていくことを私はずっと前から知っていた!



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無我夢中症 週寂 @Zhouji

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