第105話

「じゃあ、結局マルセルが浮気してたって事!?信じられない!!」





「浮気相手も浮気相手よ、とんだクソ売女だわ。それで?そのクソ売女にナニ握らせてるクソ野郎は何処に居るの?ケツから舌を引き抜いてやるわ」


「ダメよ。あのクズ、あれでも一時期レイヴンを目指してた程の男だから。幾らレイヴンくずれでも私達じゃ腕と歯を折られておしまい、1ダース居てもね」


「どうするのよ?まさか陰口パーティでビール飲むなんて言わないわよね?それなら団の中心で叫ぶわよ」


「あのクソ野郎を放置するなんてそれこそ論外よ、“マルセル病”の斑点がカラマック島全員のケツに出来るハメになるわ。でも喚き散らすのは無し。フレデリークがどうなったか忘れたの?」


「……ごめんなさい、でもどうするの?」


「団に抗議して受理された所で、確実にあのクズは少し大人しくなるだけなのは目に見えてる。2週間もすれば、新しいケツを探しに彷徨く様になるわ」


「どうするのよ?私達が痣だらけで呻いてるのに、あいつは路地で煙草吸って大人しくしてるだけ、なんて釣り合わないじゃない」


「大丈夫。昨日、イザベルが話を付けてくれたわ」


「イザベル?あの子、随分泣いてたけど立ち直れたの?」


「ええ、立派にね。あの子、自分で直々に話を付けたみたい。あのクズのナニを蹴り潰してケツに突っ込んでくれる人にね。ついでに歯も全部折ってくれるかも知れないわ、何たって“血塗れのカワセミ”だもの」


「…………待って、嘘でしょ?」


「嘘じゃないわ、まぁマルセルが図に乗れるのも昼過ぎまでよ。夕方にはあのクズ、ヤギにケツを“耕された”様なザマになってる筈だから」


「“カワセミ”……ラシェルに頼んだの?確かに確実にあのクズのタマを蹴り潰してくれるだろうけど…………相当悲惨な事になるわよ」


「よっぽど腹に据えかねたんでしょ。幾ら憎いにしても、二度と女遊び出来ない様にしてやりたいとしても、まさかラシェルに頼むなんてね」


「あの子、本気で怒ったらそこまでやるのね……不用意につつかなくて良かったわ」


「絶対に怒らせちゃいけない女が歯とナニをへし折りに来るんだから、マルセルも哀れね。有数の女レイヴン、それも表彰される程のレイヴンが痴話喧嘩に加勢してくるんだから」


「そう言えば、ラシェルに頼んだのは良いけど……イザベルは大丈夫だったの?その、ラシェルはこの団の男どもより余程頼りになるけど…………“見境無し”でも有名でしょ?過去にも女関係で揉めてたじゃない、誰かの彼女を口説き落としたとか何とか。大丈夫なの?傷心中の女の子なんて、如何にも口説かれそうじゃない?」





「最近は“彼女”に夢中みたいだし、以前程ラシェルも無節操じゃないわ。それより、私達は私達でクズのナニを握ってるクソ売女を叩き潰しに行くわよ。準備しておいて」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る