第1話
1838年
レガリス中央新聞
葉根の月28日
空中都市連邦バラクシアの首都、レガリスの中心区画にて、本日レイヴンの襲撃があった。
狙われたのは帝国軍の上級尉官であり、抵抗軍“黒羽の団”の工作員として知られるレイヴン達は暗殺を目的としていた模様。
褐色銀髪の奴隷民族、通称ラグラス人が構成員の半分以上を占める抵抗軍“黒羽の団”だが、今回の襲撃を防いだ事によって「抵抗軍は大きな痛手を負った」と専門家は語っている。
帝国軍は今回の件に対し、抵抗軍本部があるとされる東方国、ペラセロトツカに派遣している駐留軍による警備、管理を強化するとの事。
リゴドニアやペラセロトツカ出身のラグラス人に対する奴隷認可、奴隷売買条例に異議を唱えていたエドガール・ヴィヴィエ議員が、吊り下げ式航空列車クラウドラインから事故により空域へ転落。制度に従い、死亡扱いとなった。
人為的ではないか、との意見もあったが正式に不幸な事故と公表された。
血中の成分“マナ”を精製したディロジウムを規定量以上保有するには、帝国から認可された証を必要とする法案を帝国憲法本部は進めている模様。
工業都市の技術の基板となっている液体ディロジウム燃料の過剰な所持、流通を規制する事により、工業都市レガリスの発展を管理、潤滑に出来ると帝国は発表している。
超大型魚類、フカクジラと同様のフェロモンを噴霧し、身を守る新種の空魚類が発見される。捕鯨飛行船さえ墜落させる程の狂暴性を擬態して威嚇しているのではないか、と予想されている。
捕食生物に擬態する被食生物は、昆虫等にも見られる行動である。専門家は「他の空魚と違い、食用には向かない」とだけ発表した。
下層空域の瘴気濃度調査に向かった帝国の調査員が潜瘴艇を含め消息不明に。帝国調査団は更に調査員を派遣するとの方針を明らかにした。
気密性の故障とも言われているが、詳細は不明。帝国側はその後の発表を差し控えている。
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