「雨。降りんだね」


んだな」


 ベンチに座る。ふたり。空を眺めている。


「これ。やるよ。飲むかと思って、2つ買ったんだ」


「ありがと」


 蓋を開けて。

 飲んでいる。


「すごく、のど渇いてた」


「はじめて人を撃とうとして、緊張したんだろ」


「あなたは、撃ったこと、あるの?」


「あるよ」


 無言。


「殺したことはない。最初に殺すのは、自分自身だと決めてるからな」


「そっか」


 電話。連絡が来て。そのまま切る。


「あんたの依頼主」


「うん」


「死んだよ。駅前の事務所ごと吹っ飛んだらしい」


「うん」


「これでおまえは自由だ。ようこそ、この街へ」


「あなたは?」


「俺か。俺は、もういいかなと思ってる」


「どうするの?」


「その銃をくれよ。ひとりで死ぬ。あんたがいると、死ぬのを邪魔されそうだ」


 拳銃。すでに安全装置が戻されている。


「最期までやさしいんだね」


「何がだよ」


「その命。じゃあ。わたしにちょうだい」

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