第20話、ブランデーを作りましょ

「さあ、ブドウ畑に行きましょう」


此花咲也姫様は、そう言って俺の手を取りブドウ畑に転移した。


「酸味の強いブドウは残っていますの?」


「ええ、あの辺りがそうです」


「じゃあ、ブドウを入れる容器を作ってちょうだい。

そのまま圧搾できるようにね」


「はい」


「収穫するときは、そのまま収穫ってスキルを使うの。

ブドウの房と犯意を意識してやってみなさい」


「はい『収穫!』」


「うーん、これじゃあ足りないわね。ブドウの種はあるの?」


「いえ、手持ちの種は使ってしまったので…」


「いいわ、このマスを使いましょう。

麦ならあるわよね」


「はい」


「ひとつかみ、このマスに入れて頂戴」


「はい」


パラパラ


「すっぱいブドウの木、寒さに強く、害虫にも強い種になあれ♪」


「あっ…」


「種になあれ、の前に条件を指定してやるの。

羊のなる木とかできるかもよ。

これはあげるから、好きな種を作りなさい」


「ありがとうございます。

でも、あの変な絵を思い出しちゃいましたよ…」


「さあてと、土を攪拌してブドウの棚を作って頂戴」


「はい」


「そしてらパラパラと種を蒔いてっと、加速して育てるときは成長よ。

エリアを意識してやってみて、ブドウが熟したら止めるのよ」


「はい『成長!』」


「うん、これくらいでいいわね。収穫して作業場に戻りましょう」




「ワインの空き樽が要るわね。

アルテミス、来て頂戴」


シュン!


「はい、私の出番?」


「まず、あなたが矢を手元に戻すときに使ってる、物体の取り寄せを教えてちょうだい」


「はーい。

物体の取り寄せはアポートよ。アポートの後ろに取り寄せるものを指定するの。

やってみて」


「はい。『アポート・木槌!」」


「そうそう。よくできました」


「でね、勝手に持ってくるのは泥棒さんでしょ。

神としてそれはダメだから、対価を置いてくればいいの。

平等交換はイコールエクスチェンジよ。

この間鉱山でとってきた金があったでしょ。あれを10g出してちょうだい」


「はい」


「日本円で5万円相当ね。

これを手にもって、アポート/イコールエクスチェンジ:ワインの空き樽って唱えれば5万円分の空き樽が手元に来るってこと」


「わかりました

『アポート/イコールエクスチェンジ:ワインの空き樽』

出ました!」


「そうしたら、この樽の中にブドウのしぼり汁を入れて発酵させましょう」


「はい。

『プレス!』

『発酵!』

できました」


「そしてら、ポットスチルに入れて蒸留よ」


「待て待て、ちょっと味見…

うーん、辛口のワインだな。これはこれでアリだと思うぞ」


「酒飲みはこれだから嫌われるのよね。

ポットスチルに入れたら、78.3度に加熱するの。

アルコールの沸点よ」


「78.3度ですね。

『ヒート:78.3度』」


「2回繰り返せば、度数40度くらいのアルコールができるから、それをさっきの樽に詰めて熟成よ」

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