第64話 坂

母の後を追って、

黄泉比良坂に辿り着いた。


坂の上で母が厳しい顔で問う。

「何で来たの?駄目なことくらい、分かるでしょう」

負けずと言い返した。

「母さんこそ、勝手に逝ったくせに」

母の目を睨みながら、坂を登り切る。


私は今、とてもうれしい。

母と共に、死出の旅に逝けるのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る