うとうと。(NL)
「そこで寝たら体バキバキなりますよ」
ソファーでうつらうつらしている先輩を揺さぶって無理やり起こす。どうやら彼はベッド以外で寝る癖があるようで、ほぼ毎日ソファーの上で涎を垂らすか、軟体動物のように頭をグダグダと回している。
「うー…運んで」
「運べると思います?」
手を広げて薄く開いている目に見せつけると、先輩は口をふにゃりと尖らせて頭を振った。全くこの状態を先輩を超完璧人間と勘違いしている同僚たちに見せてやりたい。きっと泡を吹いて卒倒するか、解釈違いって喚き散らすだろうけど。
「分かってるなら自分で布団行って下さいね先輩」
考えても意味がないとため息を吐きながら腕を下ろす。眠そうにしているのを見ていると自分も眠くなってきた。
「ねぇ」
歯磨きをしに行こうとする私をとろんとした声が呼び止める。振り返ると先輩が眠そうな表情ながらも頬を膨らませていた。
「…奥さんになったんだから、おうちでくらい先輩って呼ばないでよ」
「なっ…!」
そう言って先輩…もとい旦那さんはことんと首を傾げる。眠そうなくせにこういうところは細かいというか気が付くというか…。
体全体がほんのりと温かくなっていたのに、この一言のせいで熱が顔だけに一点集中。今日もまた、しばらく…少なくとも顔の熱が冷めるまでは眠れなさそうな気がする。
(暗転)
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