構造について

alcor

第1話(導入)

 さて、みなさんはこの世界が不条理なものだと思いますでしょうか。一ミリでもです。そう、あなたは一度たりともこの世界に向かって憤って、それてもやりきれなくなって、愚痴をこぼすことはなかったでしょうか。

 この問に、はい、と答えられた方も歓迎します。あなたは、僕が見る中での完全正解かもしれないからです。僕の性格としては、そんなあなたのユートピアをぶち壊してしまいたくもなりますが、ね。さて、早速その作業に移るとしましょう。

 

 では、一つ問を出しますね。あなたはローマ帝国の貴族の家庭の落ちこぼれではあるものの子息で、女も(とか言うのもまずそうですがまあそれぞれの性対象としましょうか)、食べ物も、自分の好きな芸術までも自分の欲しいということを示唆さえすれば奴隷たちが手に入れてくれます。そしてあなたは己がそのまま欲するがままの生活を過ごします。

 しかし、ある日家の当主が交代し、放逐を命じられてしまいました。あなたは混乱と悲嘆と不満のままに乞食たちと同じ街角に立っていました。


 あなたをそこまで品のない人だとは言いません、あくまで仮定です。ではこの問によってユートピアから放逐される方を列挙しましょうか。

 まず、このとおり引きこもりをしている方。またこのとおり、何もせずに自分のしたいがままのことをしてきた方です。

 当然だ、とこの二者でない方は仰られますでしょうが、僕がお二方の弁護(というか、なぜあなたがいるのかという説明)をするまで、まだ何も言わないで下さいね。

 では次です。こちらが本命です。なぜあなた(問の主人公)があのような生活をして、なぜあのように追放されてしまったか言えない方です。

 その、なぜの答え(つまり、僕による先言ったお二方の弁護)をしましょう。

   なぜ主人公が堕落したのか。

 でも実は、この欲しいままの彼の生活が堕落だと言うことはできません。私たちがただ勝手に彼を奴隷を鞭打ち、強姦し、また自分のために絵を書かせて、気に食わねば絵描きを殺すような絵図を想像しているに過ぎません。さらに、事実彼がそれを行ったいたところで、地球、世界の自然の中では彼の罪などありません。

 まあ、これは極端な見方ですがね。(でもやはり、この現代人の中では彼が悪だというのに間違いはありませんがね。 

 注、これは後の問の方なので無視して下さい)ではなぜ主人公は堕落したのか、ですね。

 例えば、彼の容姿や頭脳の優秀さのために家の人間が彼の出世をはばんだ、とか、また他の家族のそのような様子を見てきたから、(付け加えて同調圧力を感じた)とか、親による過保護のためか、逆に労働するのは悪である、という正義感を持っていたからかもしれません。(なぜ奴隷を使役して彼らを労働させるのが悪だと思わないかは後ほど)

   なぜ追放されたのか

 一番具体的なのは、彼の出入金を管理していて、彼の非生産性によって大きく家が損害を受け、財産を失っていたからでしょう。特に、家の借金の取り立てが来るとなれば、事は急です。その当時においても彼の行動は不正義である、と次期当主が判断することもできるでしょう。単に親族が図った通りに彼が堕落し、知能を失ったと見たから追放して消した、ということも。もしくは奴隷が労働争議を起こして追放の要求を叶えたことも。

 でも、その中の答えの一つ、彼は非倫理的であったというのは不透明ですね。


 では次の問ができてしまいましたね。

   なぜ彼は悪なのか

 生物の欲求に従うことがなぜだめなのでしょうか。

 なぜかといえば、人間は利益を生み出して、少なくとも食事は得ないといけないからです。奪うことも手ですが、奪われる身は損なため、人は守り、また暴力をもって対抗します。しかし、彼が行ったのは、奴隷を雇い、食事を渡し、仕事をさせるものの、彼が行ったそれが食事を得るに値する行動ではなかったからです。

 現代に彼の作品が出土し、文化財に指定されたとしても、美術品は彼以外の人の心を満たしません。農園の経営も、彼じゃない親族が行っています。

 また人間を人間と認めず、自由な生活をさせなかったこと。自由権、社会権、それとあと一つ……が奴隷にはなかったでしょう。


   まとめです。

 始めの問より世にいう、上級国民のボンボンや引きこもりの方にも事情があることのご理解が出来たでしょうか。

 次の問より、なぜ主人公が放逐されてしまったのかご理解ができたでしょうか。最後の問とも連動してますよね。

 最後の問によってなぜあなたが主人公を嫌うのか理解ができたでしょうか。   


 さて、これであなた方はみなユートピアの外にいますかね? ここまでの思考がないとあなたは正義を語る資格がないですし、将来のビジョンがなくてユートピアの維持はいずれできなくなる、はずです。多分。最悪いつかあなたの子孫なんかがやらかすはず。これでまだ踏みとどまったなら僕の負けです。多分これを読む必要はないでしょう。そして寧ろ僕にその崇高な思想を教えて貰いたい……

 (あなたにに正義を語る資格がないかは知りませんよ? 僕は気弱なのであまり強い文体で対抗されたらすくんでしまってもしかしたら真実が歪められてしまうかもしれません。ですから僕は己の考えに対する意見にはあまり回答できません。あなたの脳の中で否定したり、補足したり、問を発見したりして、あなたの知恵を磨いて下さい。というものの少なくとも僕は京大にも東大にも行けないことは申し上げておきますが。)


 ええ、まあ自己顕示欲のために少し僕は本か何かで知った思考の転換を行ってセコいマネをしました。てへ…、…


 とまあ、とりあえずこのように物事を考えて行きます。ではでは………

 


 

 

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