第318話 ライトがいてくれれば百人力だよ
ミーアとオットーが
1つ目は、大陸西部で活動していたはずの
呪信旅団の幹部がいるならば、無理に教会所属の
今月に入ってから活発に動き始めた呪信旅団の幹部と遭遇し、それと戦うには実力不足だった者達が戦いに敗れて死んだという報告は教皇と4公爵間でも共有されている。
呪信旅団の幹部には敵わずとも、アンデッドを倒したり行商人の護衛を引き受けてくれる貴重な人材を無駄死にさせる訳には行かない。
そういった考えがあって、ライトは自ら
2つ目の理由は、この付近に
目撃者に<鑑定>が会得していなかったため、種族名は仮でタキシムスカルアーマーと名付けられ、タキシムが1人分の骨を鎧のように纏っている見た目らしい。
タキシムの派生種のようで、文献にも目撃記録が残っていないことから、ニブルヘイムにおいて初めて目撃された可能性が高い。
ちなみに、タキシムスカルアーマーを目撃したのはガルバレンシア商会だから、この情報はまだダーイン公爵家にしか流れていない。
そんなタキシムスカルアーマーを
余計な介入を阻止して速やかに討伐と思念玉の回収を済ませなければならぬということからも、ライトが出張るしかなかった。
「旦那様、前方で戦闘中です。
「先を越されたか。介入の余地はありそう?」
「あると思います。現在、タキシムスカルアーマーが優勢です」
アンジェラの報告を聞くと、ライトは車窓から前方の状況を確認した。
アンジェラの言う通り、タキシムスカルアーマーが
とりあえず、ライトはタキシムスカルアーマーに<鑑定>を発動した。
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名前:なし 種族:タキシムスカルアーマー
年齢:なし 性別:雄 Lv:70
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HP:29,100/30,000
MP:32,500/34,000
STR:4,000
VIT:4,000
DEX:3,000
AGI:3,000
INT:1,500
LUK:3,000
-----------------------------------------
称号:
二つ名:なし
職業:なし
スキル:<剣術><盾術><格闘術>
<
<配下召喚><配下統率>
装備:ヴェノムグラディウス
サーペントシールド
スケルトンナイトアーマー
備考:なし
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(Lv70は地味に初めてかも。今まで戦ってきた中では最強じゃね?)
タキシムスカルアーマーのステータスをチェックしたライトは、警戒の度合いを1段階上方修正した。
能力値を見る限りでは、物理攻撃主体で必要に応じて魔法系スキルで攻撃するらしい。
しかも、タキシムスカルアーマーは効果のある専用武器を装備していた。
ヴェノムグラディウスは猛毒塗れのグラディウスで、少しでも掠れば猛毒待ったなしである。
サーペントシールドは胴長の蛇の体で構成されたラウンドシールドで、MPを消費すればその面積を増やせる。
スケルトンナイトアーマーだけが、特に厄介な効果もなく体を守る只野鎧だった。
「タキシムスカルアーマー。Lv70。
「うわぁ・・・。嫌な相手だね」
「その上、触れたら猛毒のグラディウスとMPを消費すれば形が変わるシールド付き」
「空を飛ばないだけマシって感じかな」
「そうだと思う。これなら
ヒルダと御者台のアンジェラにも聞こえるようにタキシムスカルアーマーの解説をすると、ヒルダの顔が引き攣った。
無論、ライトの顔も同じぐらい引き攣っている。
ガルバレンシア商会の調べによると、
また、
それはさておき、
「呪信旅団の幹部を容易く戦闘不能にしますか。強敵ですね」
「アンジェラ、好都合だ。
「承知しました」
普通ならば、ここまで手をかけて捕縛したりせずに殺すだろう。
しかし、情報を持っているに違いない幹部であり、しかも戦闘不能なのだとしたら話は別だ。
アンジェラに
「【
「くっ、死ねぇ! 【
周囲の瘴気が浄化され、その瞬間にタキシムスカルアーマーは不快の根源がライトだと判断して【
「【
いくつもの斬撃を光の壁で防ぎつつ、ライトはヒルダとアンジェラの強化を行った。
ヒルダはタキシムスカルアーマーの攻撃後の隙を狙って反撃に移る。
「【
「無駄だ」
ヒルダが光り輝く十字の斬撃を放つが、タキシムスカルアーマーはそれを盾で防いだ。
様子見とはいえ、想定していなかった方法で簡単に技を防がれたため、ヒルダはライトに意見を求めた。
「今、盾の面積が増えたよね?」
「蛇の模様が光ったらニョロニョロと増えたね」
「事前にわかってても、実際に目の当たりにすると鬱陶しく感じるわ」
「ヒルダ、僕も積極的に参戦するから」
「ライトがいてくれれば百人力だよ」
本心を言えばライトに接近戦をしてほしくないのだが、ライトの持つミストルティンがなければ苦戦は必至と理解したため、ヒルダはライトの申し出を止めなかった。
自分やアンジェラだけでは倒せないと潔く認めるのも、ライトを生きてダーインクラブに連れて帰るには必要だからだ。
タキシムスカルアーマーが多くヘイトを稼いだライトに接近するが、それは攻撃するまでには至らなかった。
「遅くなりました。【参式:
殺気を強めに放ち、どこを攻撃するか誤認させたアンジェラがタキシムスカルアーマーにペインロザリオで斬りかかる。
しかし、タキシムスカルアーマーは即座に反応して盾でその攻撃を防いだ。
「大したことないな」
タキシムスカルアーマーはニヤリと笑みを浮かべて口を開く。
だが、アンジェラは自分の攻撃が防がれることを計算に入れていた。
自分の攻撃の目的は、タキシムスカルアーマーにダメージを与えるだけではないので問題なかった。
「【拾壱式:
「何ぃぃぃぃぃっ!?」
タキシムスカルアーマーが驚きのあまり叫んだのは、ヴェノムグラディウスが壊れたからだ。
アンジェラの攻撃を盾で防いでいたせいで、反対側からライトに仕掛けられた攻撃を剣で防ぐしかなかった。
その結果、ミストルティンの効果で3回攻撃を受けたことにより、ヴェノムグラディウスが壊れた。
そう、アンジェラの真の狙いは武器破壊だったのだ。
自分がタキシムスカルアーマーの注意を惹き、ライトがその隙に反対側から接近すれば咄嗟にヴェノムグラディウスで防ぐ可能性は高い。
アンジェラの狙い通り、タキシムスカルアーマーの戦力を削ることに成功した。
指示を出さずともお互いの意図を理解して戦えるあたり、ライトとアンジェラの主従関係はハイレベルなものと言えよう。
早速攻撃手段を1つ減らせたため、タキシムスカルアーマーとの戦闘は幸先の良いスタートを切った。
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