カラメル王国の公爵令嬢であるラビー・ストロングは、婚約者の第二王子が愛した平民上がりの男爵令嬢を害そうとしたが、阻まれたあげく“赤い森”へ永久追放される。果たして喉の乾きに耐えかね、目の前に流れる赤い川の水を飲んで……辛さに跳び上がると同時、自分が乙女ゲーム世界へ転生した料理人・三島幸子であることを思い出すのだ。
唐辛子で満ち満ちた森のただ中、レストランを開店したラビーさんは前世の記憶と腕、そして火炎魔法を駆使して客の舌を痺れさせます。そして新たな食材を創意工夫で極上料理に仕上げていくのです。王道ネタを唐辛子という一味(いちみ/ひとあじ)でここまでオリジナリティとカタルシスに溢れる一品へ仕上げてみせた著者さんの筆、最高ですね!
しかもラビーさん無双だけじゃなく、物語は登場するキャラたちについても語り上げるのです。それがラビーさんの物語へどう合流していくものか? わくわくが止まりません!
スローライフじゃ終わらない、辛(つら)みと辛味(からみ)の痛快悪役令嬢物語です。
(「春だからスタート!」4選/文=髙橋 剛)