新参騎士の問い(王国side)

ショコラ公爵邸から出る3人。

外には護衛達が待っていた。


「外からも聞こえていましたがやはり駄目でしたか・・・」


メイジが駆け寄る。


「あぁ・・・」

「御言葉ですが陛下、 公爵とはいえ余りにも無礼なのでは無いのでしょうか」


護衛の中でも新参の騎士が尋ねた。


「いやショコラ公爵はこの国の№2と言っても良い重鎮だ

それに止めたいのは私にも分かる」


カスタードが俯く。


「御言葉ですがショコラ公爵と言う名前は初めて聞きました

王妃様の生家とは言えそんなに凄い家ならば何故表に出ないのでしょうか」


新参の騎士が続けて尋ねた。


「歴史の勉強が足りぬな、 ショコラ公爵家は元々ビア帝国の魔術師の家系で

広大な土地と富を持っていた

現にカラメル王国の土地の1割は元々はショコラ公爵家の領地だった」

「何と・・・それ程まで強大な力を持つ帝国貴族が何故王国に亡命を?」

「ショコラ公爵家の令嬢とビア帝国の皇太子の婚約破棄

そして婚約破棄後の皇室の対応が元になって王国に逃げて来たらしい

サンライズの馬鹿め・・・婚約破棄が問題となる事は分かっていた筈なのに・・・」

「なるほど・・・それで【テンパリング】と言うのは一体・・・」

「・・・・・私の口からは説明したくない、 メイジ、 説明してやれ」

「分かりました」


メイジが新参の騎士に説明を始める。


「【テンパリング】はショコラ公爵家に代々継承される固有魔法だ」

「代々継承される固有魔法?」

「ビア帝国では固有魔法を徹底的に教え込む事で継承させる

と言うやり方が有るんだ

【テンパリング】はショコラ公爵家の血筋にしか使えない魔法だ」

「なるほど・・・それでその効果は?」

「・・・・・人を溶かし混ぜ合わせ、 新たな人を造り出す」

「!!」


新参騎士は絶句した、 嘗て盗賊とは言え初めて人を斬り殺した時と同じ

いやそれ以上の驚愕。


「な、 何と悍ましい・・・」

「確かにな、 だが単純計算でも通常の人間の身体能力を二倍にする事が出来

更に魔力や固有魔法すらも混ぜ合わせて強化する事が出来る

冒涜的だが単純に強くなれるならば手っ取り早い魔法だ

おまけに【テンパリング】は死体とすら融合出来るらしい

過去の英雄の力すら得る事が可能だ」


新参騎士は耐え切れずに嘔吐したのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る