冒涜的な抑止力(王国side)

新参騎士の最中を撫でるメイジ。


「はぁ・・・はぁ・・・・・あ、 ちょ、 ちょっと待って下さい!!」


新参騎士が立ち上がる。


「団長!! さっきの話で過去の英雄の力を得る事が可能と言う事は!! つまり!!」

「その通り、 過去の英雄の遺体がここに有ると言う事だ」

「なっ・・・」


新参騎士は絶句した。


「その遺体を魔法で弄ぶと言う事ですか!? そんな事が許されるのですか!?」

「その憤りも尤もだ、 私も父にそう言ったよ」


カスタードが重々しく口を開いた。


「だがしかし隣国のビア帝国は恐ろしい

皇帝フライが即位してからは友好的な関係を維持している

しかしながら彼の国は強大だ、 超越的な魔術師であるフライにその子供達

実力主義の彼等が我が国との友好関係を何時までも維持するとは考えられない」

「だからと言って」

「だからも何も無い!!」


カスタードが叫ぶ。


「そもそも前提条件として我が国とビア帝国が友好関係を築いている理由の一つは

間違い無くショコラ公爵家だ、 皇帝フライも力が無い者には友好的には扱わんだろう」

「・・・だったら私達騎士とは何なのですか!! こんな冒涜的に力を得られるのならば

我々騎士は何の為に鍛えていると言うのですか!!」

「・・・・・若い騎士よ、 冷静に考えろ

人と人は本来混じらない、 それを魔法で無理矢理混ぜ合わせるのだ

内容を聞くだけでも冒涜的だ、 実際に行う者は・・・」

「!!」


新参騎士は戦慄した。


「精神汚染・・・」

「そうだ、 精神に多大な負荷がかかる」

「ベッコ殿下はそれを承知で?」

「分かっているよ」


ベッコはぽつりと呟いた。


「陛下!! 考え直して下さい!! こんな子供にそんな事を!!」

「私もベッコに説得した、 説得したがベッコの決意は固い」

「そんな・・・」


愕然とする新参騎士。


「そういう事だ、 理解出来たか? 公爵閣下が何故あそこまで怒ったのか」


新参騎士の肩にぽんと手を乗せるメイジ。


「確かに・・・甥が、 いや子供がこんな事を言えば誰でも怒って止める・・・」

「その通り、 それでは陛下、 これから如何なさいますか?」

「城に戻ろう、 ベッコもそれで良いな?」

「・・・・・分かりました父上、 ですがまだ諦めた訳じゃありませんからね」

「良いだろう、 それでは皆の者、 帰るぞ」

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