アラモード、ウィノに喝を入れる

寂れた廃マンションの一室。

大量の樹木で防壁を張った中でアラモードとウィノが居た。

二人は逃げた結果、 ここにやって来たのだ。


「ウィノ、 私は君を見くびっていた様だな」


アラモードが周囲を警戒しながらウィノに言う。

ウィノはぜっ、 ぜっ、 と息も絶え絶えになっている。

疲労が隠しきれていない、 寧ろ今にも死ぬのではないかと言う有様である。


「冴えは無かったが見事な剣術だったな

騎士団長の息子と言うのも強ちデタラメでは無いらしい

バッサバッサと亜人共を斬り倒すとは、 素晴らしい」


アラモードは水の入った水筒をウィノに渡す。

ウィノは水筒を引っ手繰って飲み干した。


「はぁ・・・はぁ・・・」

「落ち着いたか?」

「・・・・・」


手を見て震えるウィノ。


「お、 俺・・・人を・・・人を・・・」


自分が亜人とは言え人を斬った事に対して震えるウィノ。


「人を斬って罪悪感か? それが騎士の仕事だろう」

「そんな割り切れるかよッ!!」


アラモードの言葉に激昂するウィノ。


「お前が斬らなかったら逆に殺されていた

私の様な価値のある皇女ならば捕らえらて人質と言う線は無いが

お前は犯罪者だからな、 殺されるだろう」

「だからってッ!!」


アラモードを見上げるウィノ。


「お前は相手を殺せる力量が有る、 人を殺したと言ってぐずぐず言うな」

「ぐずぐずって!!」

「言いたい事は分かる、 だが、 今は命がかかってるんだ

後悔とか罪悪感を抱くのは後からにしろ」

「・・・・・」

「・・・・・」


座っているウィノを無理矢理立ち上がらせるアラモード。


「殺す覚悟も無いのに騎士になったのか貴様ッ!!」

「あ・・・あ・・・」

「暫く見張りを頼む」

「見張り・・・?」

「あぁ、 こちらから打って出る」


ウィノを放し小さな飯盒に水を入れて煮立たせ始めるアラモード。


「打って出る・・・って・・・何をするつもり、 ですか?」

「とっておきを使う」


そう言うとアラモードは小さなロケットを取り出した。

いやロケットサイズの小さな金庫と言って良い。

チキチキと動かし中から木端を取り出した。

そして【フルーツパーラー】で成長させ始めた。


「これ位で良いかな」


成長してつる状になった植物を刈り取って飯盒の中に入れて煮る。


「・・・何かのまじないか?」

「ある意味そうかもね」

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