体勢を立て直そう(騎士side)

亜人騎士達はADの先導で走っていた。

紙製とは言え大砲には勝てない。

盾の騎士は防御出来るか? と思ったが流石に威力がデカすぎるのだ。


「おい!! 本当にこっちで大丈夫か!?」

「問題無い!! メディア王参加の新聞社が有る!!」


走りながらも後ろからの追撃を何とか受ける。

盾の騎士が盾を展開する、 幸いにも大砲はもう無いようだったが

明らかに刺さったらヤバいと思わせる矢が飛んで来る。


「触るなよ!! 恐らく毒矢!!」

「っ!!」


しかしながら距離を詰めて来ない、 寧ろ離れていく。


「なんだ、 何をする気だ?」

「何をする気だって・・・普通にこっちの足が速いだけだろ」


勲章の騎士が言う通りである。

辺境とは言え騎士をやっている亜人騎士と

追いかけて来ているチンピラとでは身体能力に差が有る。

チンピラの方が対人経験は多いだろうが、 フィジカルは騎士に分が有るだろう。

彼等はしっかり日々鍛えて食べている、 筋肉量が多いのは仕方ない事である。

そして騎士達はあずかり知らぬ事だがチンピラ達の目標は他の巾木達やアラモードなので

騎士達は眼中になかった、 それ故に追手も最小限である。


そうこうしている内に新聞社に辿り着いた一行。

新聞社のドアを思い切り開くAD、 騎士達と共に中に入る。


「本部の・・・一体如何したんですか、 そんなに息を切らして」


亜人の記者が尋ねる。


「済まない、 誰だか知らないが今追われてるんだ」

「何と、 メディア王の側近の貴方を追いかけ回すとは・・・命知らずな

分かりました、 警備部の連中が出社したら即座に攻勢に回りましょう」

「来てないの!?」

「えぇ、 出社時間は11時からなので」

「おっっっそ!! マジかよ!!」


地団駄を踏む盾の騎士。


「落ち着いて下さい、 兎も角今は時間が足らない戦闘向けの能力持ち亜人は居ないの?」

「えーっと・・・居ませんね、 耳が良いとか目が良いとか夜目が利くとか

そういう類の亜人記者しか・・・」

「それではきついか・・・」

「良し分かった、 一旦体勢を立て直そう」


勲章の騎士が提案する。


「まずはこの街の地理について知りたい」

「地図が有ります」

「良し、 次に私達以外に逃げた者の保護だ

さっき耳や目が亜人が居ると言ったな? その者達にも捜索に協力願いたい」

「了解しました」


てきぱきと指示を出す勲章の騎士。


「店長、 大丈夫かな・・・」


盾の騎士が心配する。


「店長ならさっき大使館の中に入ったのを見た、 心配いらない」


剣の騎士がぽん、 と盾の騎士の肩を叩いた。

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