柵の向こう側

「アンタ叩き上げだよな?」


ツイストが大使に言葉を投げかける。


「それが何か?」

「実際の所、 筋肉の付き具合と言い身の熟し、 酒を呑んでいても

結構強いって言うのは充分に伝わる」


虎を見て『あ、 ねこだ(^q^)』と思う人間は居ない。

ツイストも皇室という伏魔殿で生活する身。

肉体的な相手の力量は簡単に把握出来る。


「更にリソレ姉さんまで居るんだ

それなのにそこまでビビる必要が有るのか?」

「・・・・・」


震える大使。

明らかに尋常では無い。


「兎に角駄目!! 絶対に能力は解かん!! 安全が保障されるまでは!!」

「安全が保障されるのは何時になります?」

「余裕をもって10日!!」

「・・・・・」


ラビーを見るツイスト。


「・・・・・」


首を振るラビー。


「一旦退きます」

「それが良いでしょう」


3人は大使の部屋から去った


「何とかならんのかラビー?」


ゼロが尋ねる。


「無理ですね、 大使が持っていた槍はミスリル製です

魔法を弾く素材ですから私の魔法で対処出来ません」


ラビーが即答する。


「ミスリルだと・・・そんな貴重な代物まで持っているとは・・・」

「麻薬王とやらの信頼も厚いようですね」

「ならばあの大使の言っていた出入り禁止の能力

穴の様な物が有るかもしれない」

「穴? を掘るのですか?」

「それもアリ・・・か? 亜人の事は良く分からん」

「一回試しに出て見ませんか?」

「そうしようか」


3人は大使館の敷地内から外に出ようと試みた。


「出入り禁止、 と言うからてっきりバリアの様な物が展開されていると思っていましたが・・・」


建物の周囲に先程まで無かった柵が展開されていた。


「物理的に外に出さない、 と言う事か? こんな柵なんか簡単に壊せそうな印象だが」


こんこんと柵を叩くツイスト。

マジックハンドで思い切り殴るが柵はまるで生き物の様にうねり収束し攻撃を防いだ。


「硬いな・・・」

「収束してるから隙間が空いてますね、 ここから・・」


と手を伸ばしたラビー、 隙間を塞ぐように柵が膨れ上がる。


「うーん・・・なんだか行けそうな気がしないでもない」


膨れた部分を撫でるラビー。


「行けますか?」

「魔術解呪の要領で行けば出来そうな感じですね」

「イケますかね?」

「やるだけやってみますよ」

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